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さらば1962年の東京 「ホテルオークラ東京」本館改修へ

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2015年8月30日
さらば1962年の東京 「ホテルオークラ東京」本館改修へ
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文_編集部

港区虎ノ門にある「ホテルオークラ東京」本館が、改修工事のため2015年8月31日(月)をもって営業を一時終了する。新装となり営業を再開するのは、4年後の2019年を予定している。

「ホテルオークラ東京」。設計は建築家の谷口吉郎を委員長とした設計委員会による。

「ホテルオークラ東京」。設計は建築家の谷口吉郎を委員長とした設計委員会による。

本館エントランスからロビーを眺める。季節ごとに変わる中央の花が風流だ。

本館エントランスからロビーを眺める。季節ごとに変わる中央の花が風流だ。

53年の歴史に幕
一部営業は別館へ

改修後は13階建てのホテル棟のほか、オフィス機能を備えた地上38階、地下6階のタワービルの2棟が建設されるという。2014年にプレスリリースが出されて以来、多くのファンから改修を悲しむ声があがり、「なんとかこの歴史的建築を残せないものか」と反対署名運動も展開され話題になった。また、海外メディアもこぞって取り上げた。

ホテルオークラ東京では、改修へのカウントダウンを300日と定め、「This is Okura」プロジェクトとして段階ごとに実施してきた。改修に先がけ、今年7月からは本館のいくつかの施設を移設するため、別館の改修を実施。9月1日からは別館での営業が行われる。

ただ、残念ながら、「オーキッドルーム」、「テラスレストラン」、「チャイニーズテーブル スターライト」は8月31日をもって営業終了となる。

和洋折衷のインテリアが活きるレストラン「オーキッドルーム」。

和洋折衷のインテリアが活きるレストラン「オーキッドルーム」。

「フレンチトースト」は、ふっくらとした口触りと上品な味わいが人気の一品。

「フレンチトースト」は、ふっくらとした口触りと上品な味わいが人気の一品。

高度成長期を生きた
1960年代のホテル

1962年、2年後に東京オリンピックを控えた東京に誕生した、ホテルオークラ東京。創業者の大倉喜七郎は、帝国ホテルを生んだ大倉喜八郎の長男で、15大財閥のひとつに数えられた大倉財閥の2代目であった。

大倉喜七郎。男爵の称号を持ち、「バロン・オークラ」と呼ばれた。

大倉喜七郎。男爵の称号を持ち、「バロン・オークラ」と呼ばれた。

しかし戦後、GHQによって財閥解体と公職追放が行われると、喜七郎は帝国ホテルの会長職を奪われ、民間企業の要職に就くことも禁じられてしまった。1951年の第一次追放解除ののち、改めてホテル建設へ乗り出した喜七郎が望みをかけたのが、ホテルオークラ東京だったのである。

慶応義塾大学を卒業してからケンブリッジ大学へ留学した経歴を持ち、芸術にも明るかった喜七郎は、“日本の伝統と近代的なホテルの調和”という理念をもとに、自身の邸宅があった虎ノ門の地にホテルオークラ東京を建設した。そしてその1年後、81歳でこの世を去った。

このとき、ホテルオークラ東京の建設を担当したのが大成建設だ。前身となるのは大倉土木。喜八郎が1873年に創設した大倉組商会を祖とするが、1917年に分離しており同族経営ではなくなっていた。しかし喜七郎のホテル理念にうたれ、建設の協力を申し出たのだ。

さらに、その時に大成建設が培った建設技術は、翌々年の1964年、千代田区紀尾井町に開業した「ホテルニューオータニ」で活きることになった。

「ホテルニューオータニ」。最上階の回転レストランは戦艦大和の砲座の技術を取り入れている。

「ホテルニューオータニ」。最上階の回転レストランは戦艦大和の砲座の技術を取り入れている。

”ホテル御三家”と呼ばれる「帝国ホテル」「ホテルニューオータニ」「ホテルオークラ東京」。そのうち1960年代に誕生した2つのホテルは、実は密接な関わりを持っていたのである。

1962年から2019年へ
進化の先にあるものは

ホテルオークラ東京がオープンを迎えた日、日本は高度成長期の真っ只中にいて、世界と肩を並べるべく奮闘を重ねていた。初の自国開催となるオリンピックへの期待はただならぬものがあったに違いない。造作のひとつひとつを見ていると、まだ当時の熱気が閉じ込められているような、そんな気がしてならない。館内を歩いているだけで、1962年の東京にいるような錯覚に陥る瞬間がある。

「オークラ・ランターン」と呼ばれる照明具は、古墳時代の飾り玉に見られる”切子玉型”をデザインしたもの。

「オークラ・ランターン」と呼ばれる照明具は、古墳時代の飾り玉に見られる”切子玉型”をデザインしたもの。

SEIKO製のワールドクロック。パネルの国名を押すと電光掲示板に時間が表示される。

SEIKO製のワールドクロック。パネルの国名を押すと電光掲示板にその国の時間が表示される。

開業時から営業を続けるニューススタンド。こちらも8月31日で閉店となる。東京土産も在庫僅か。

開業時から営業を続けるニューススタンド。こちらも8月31日で閉店となる。東京土産も在庫僅か。

その時代を生きていない世代にも、感じられる熱が確かにある。であれば、我々は次の世代に何が残せるだろうか。

本館でのひとときを楽しめるのは、残り1日。18:00からはメインロビー(本館5階)にて、指揮者・大友直人氏監修のもと「ホテルオークラ東京 本館フィナーレコンサート」と題するイベントが開催される。毎月25日に本館ロビーで行われてきた“ロビーコンサート25”の出演者を中心とした内容になっている。

2019年に再び出会うためにも、53年間におよぶ歴史を目に焼き付けておきたい。

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