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猫社員は今日も働く 新宿三丁目「カフェ アルル」が猫を雇う理由(新宿区)

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2015年8月28日
猫社員は今日も働く 新宿三丁目「カフェ アルル」が猫を雇う理由(新宿区)
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文_編集部
顔も名前も覚えない仕事はしたくない

根本さんは63歳。生まれは台東区浅草だ。鴬谷の空手道場で育ち、それから豊島区や新宿区に移り住んだ。新宿三丁目に喫茶店を開こうと思ったのは、土地勘があるというほかにこんな理由があったからだ。

「昔、伊勢丹に務めてたんですが、近所の喫茶店に行ってみると、人との関わりがもてるようなお店が少なかったんですよね。お客さんも一見さんが多いですし。それで、のんびりできるような緩いお店ができないかなと思ったんです」

こうして、カフェ アルルは1978年に新宿の三番街商店街にオープンした。辺りには新宿とは思えないゆったりとした空気が流れている。

新宿5丁目に位置する三番街商店街。住居表示法施行前は三光町および番衆町という地名で知られていた。

新宿5丁目に位置する三番街商店街。住居表示法施行前は三光町および番衆町という地名で知られていた。

「お金が儲かればなんでもいいっていう商売もありますけど、ぼくは人の顔も名前も覚えない仕事って嫌だなあと思ったんですよね。お客さんにはゆっくりしていただきたいですしね。そうやってお店をやってきてますから、今もこの辺りに住んでらっしゃるお客さんが多いですねえ」

喫茶店ならではの鉄板メニューが並ぶ。オムライスは800円(税込み)。お通しにはバナナとジャイアントコーンが付く。

喫茶店ならではの鉄板メニューが並ぶ。オムライスは800円(税込み)。お通しとしてバナナとジャイアントコーンが付く。

根本さんは「都会の中の田舎っぺをやりたいっていうことですね」と笑った。

2代目がつなぐ猫社員のバトン

五右衛門の跡を継ぐ2匹の猫たち。もともと跡継ぎを入れる予定はなかったと根本さんはいう。

「五右衛門がいなくなって、すぐに次、という気持ちにはなれなかったんです。ただお客さんたちは寂しがっていたし、『次の子は飼わないの?』って聞かれることも多くて」

定期的に外をチェックする次郎長。

定期的に外をチェックする次郎長。

そんな折、猫を里親に出すボランティアしている女性が現れた。里親活動をしながら次郎長だけは4年ほど可愛がってきたが、1匹の猫だけを手元に置いていることを自問自答するようになったという。

「悩んでいたら、お友達が『カフェ アルルっていうところによく似た猫がいたけど、亡くなっちゃったみたい。預けてみたら?』って教えてあげたらしいんですよね。それで人慣れしてる猫だし、ここなら大丈夫かなって思ったみたいで、うちに来ることになったんですよ」

石松は元気盛り。時おりこのように紐を付けられている。

石松は元気盛り。時おりこのように紐を付けられている。

次郎長とともに、生後間もない石松も引き取った。今では店内を忙しなく駆け回る若き石松と、次第に貫禄を見せつつある次郎長の2名が店番をしている。ソファの背もたれでくつろぐ次郎長を見ていると、まるで五右衛門の面影が重なるようだ。

「まさか自分が、新宿で猫のいる喫茶店をやるなんて思っていませんでしたよ。でも、ぼくは結局こういうお店が好みなんです。『よぉマスター』って気軽に声をかけてくれるようなお店がやれてるから、幸せなんでしょうね」

客席にて毛づくろい。お気に入りの席なのかもしれない。

客席にて毛づくろい。お気に入りの席なのかもしれない。

ネオンが煌めく街の裏に、粛々と流れる日常がある。目紛しく変わる東京の中で、猫と珈琲のある喫茶店の、この風景だけは変わらないでいてもらいたい。

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