台東区千束のカストリ書房が、店舗拡大にともない同じ吉原エリアで移転することになった。8月13日(日)をもって現在の店舗での営業を終了し、8月17日(木)から新たな店舗での営業をスタートさせる。

移転先の住所は台東区千束4-39-3。「吉原」という町名はないのでご注意。
開店から1年弱での移転
吉原大門近くのカストリ書房は、遊郭や風俗関連の書籍を多く揃える専門書店として昨年2016年9月、かつての廓の中にオープンした(TOweb「吉原に遊廓や赤線などの遊里史専門書店誕生! 新刊から古書までを取り扱う「カストリ書房」(台東区)」)。本の販売だけでなく、「カストリ出版」として店主の渡辺豪さん自ら編集した書籍も製作。これまで『全国女性街ガイド』や『全国遊郭案内』、『昭和エロ本 描き文字コレクション』などを刊行し、全国の書店にも卸している。
開店からわずか約1年での店舗移転。店主の渡辺豪さんはこう話す。
「当初の取扱点数は30冊ほどだったのですが、今では400冊を越えるまでになりました。新刊、古本以外にもオリジナルグッズや遊郭に関連するアイテムの販売を行っていて、より効果的に商品を配置するには……と考えたときに、ある程度の広さがあったほうがいいなと考えるようになったんです」

店主の渡辺豪さん。Tシャツは中部地方の某遊廓で戦前戦後に妓楼を経営していたナミノさんをプリントしたオリジナルアイテム、「妓楼の前に立つナミノさん」。

書棚が増えた店内。

新刊、古本を問わず、扱うカテゴリも増えた。

京都の芸妓さんや舞妓さんがお得意さまに配る京丸うちわで作った「郭ちゃん団扇」。岡崎の「小丸屋 住井」によるもの。
当初は小上がり部分に本を並べていただけだったが、現在では書棚もグッズの数も増えた。現在の店舗は2坪だが、移転先は12坪と6倍の広さになる。

まっすぐ伸びる道がお歯黒どぶ跡。
移転先は、かつて遊郭のまわりをぐるりと囲むように存在したお歯黒ドブの際(きわ)。現地を訪れてみると、すぐ近くの吉原公園と少し段差があることに気づく。かつて郭はこの盛土の上にあったわけで、まさに吉原の風情が感じられる場所だ。

吉原公園とお歯黒どぶの暗渠には、1メートル半ほどの段差がある。

路地から見える「角海老本店」。