銀座7丁目周辺は今、ホテル建設ラッシュだ。昨年6月にホテルユニゾ銀座七丁目が、10月には相鉄フレッサイン銀座七丁目が相次いでオープンし、今後2018年には名鉄インの新ブランドとなるホテルも控えている。至近に銀座、日比谷、新橋、有楽町といった主要駅があり、新幹線の発着する東京駅へもアクセスしやすい位置とあって、東京オリンピックの需要に向けた宿泊施設を作るには格好のエリアなのだ。
同じく2018年に開業予定の銀座グランベルホテル建設地は現在駐車場。一棟だけビルが残っているが、近日中に取り壊される。

銀座7丁目の端。有楽町と新橋のちょうど間ぐらいに位置する南欧ビル。
ビルの取り壊しを控えた3月31日、地下1階のカレー店・銀座ブラン亭が閉店した。平日の昼はスーツ姿の男性が入れ替わり立ち替わり訪れ、金曜は通し営業で22時まで営業するため、ワインでくつろぐ常連客もいた。そんな光景も、この日でいったん見納めとなった。

カウンターだけのシンプルな店内。壁面の飾りが44年の歴史を物語る。
特製ライムペーストで変わる味
店主が女手ひとつで切り盛りする店内には、6席ほどのカウンターと小さなキッチン。チキンやポーク、キーマ、ヤサイ、豆など数種類のルーが用意されており、780円。2種のあいがけも可能だ。盛り付けはいかにも日本の家庭のカレー、といった感じだが、いずれもスパイスがしっかり効いている。南インドカレーの佇まいに近い気がするけれど、コクがあって、さらりと伸びるあたりが日本米とよく合う。

チキンとヤサイの二種盛りに、目玉焼きをトッピング。これで850円。
福神漬けやらっきょう、フライドオニオン、レーズンといった薬味に混じって、変わり種の特製ペーストがある。
「お好みで味を変えてくださいね」
と差し出されたペーストを、少しだけカレーに付けて食べてみると、酸味がじわりと口の中に広がって、全く違う味わいになった。その正体は唐辛子とライム。コクのあるカレーに、この酸っぱさがとても合うのだ。食べ進むうち、途中で少し加えてみると、味のバリエーションが広がってより楽しめる。

ライムと唐辛子の特製ペースト。
茶葉から煮出すチャイも本格的で、濃厚だった。何から何までこだわりながら、「カレーとは」と押し付けてくるような圧は全くない。気さくな店主の人柄がそのまま出ているような味だった。
移転先を探して
最終日。次々と顔を出す客は、「場所、決まりました?」と一様に移転先を気にしていた。閉店理由はビルの取り壊しであって、店主はまだまだ店を続けるつもりだ。
物件はずっと前から探しているし、客たちも皆それを知っている。だから悲しい別れではない。現時点では移転先は未定だが、決まり次第Facebookで知らせるとのこと。今からその日が待ち遠しい。
銀座ブラン亭
住所:中央区銀座7-2-17 南欧ビルB1(閉店)
URL:https://www.facebook.com/pages/%E9%8A%80%E5%BA%A7%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E4%BA%AD/331825890227969?ref=ts&fref=ts