全世界で熱狂的なファンに支持され、興行収入約460億円を記録。日本でも公開から7週間が経ち、観客動員100万人を突破した『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。
立川シネマシティでの「極上爆音上映」も話題となり、リピーターも多いこの作品にインスパイアされ、2015年8月10日(月)から紀伊國屋書店新宿本店でスタートしたのが「マッドブックス 怒りの書店ロード」という書店フェアだ。
同店の2Fの文学コーナーで展開されているこのフェア。まず目に入るのが、映画のワンシーンが思い出されるイラストからなるパネルだ。それらのもとに、新旧やジャンルを飛び越えて選ばれた「マッド」な本たち約80点がずらりと並んでいる。一体どんな経緯から、このフェアを企画したのだろうか。
選書のテーマは
ずばり「マッド」さ
「映画のヒットはもちろんですが、書店員としてそれ以上に驚きだったのがメイキング本である『メイキング・オブ・マッドマックス 怒りのデス・ロ-ド』の尋常じゃない売れ行きでした。私自身も観に行ってとても好きな作品になったのですが、このメイキング本が品薄になるほどとにかくよく売れるんです。じゃあ、この作品にあやかりつつフェア棚をつくったらおもしろいんじゃないか、と思って企画しました」
そう語るのは、このフェアを企画した書店員の1人である、藤本浩介さん。普段は新刊全般を担当しており、個人的には文学・人文系の書物をよく読んでいるとのこと。
「フェアのテーマはド直球ですが、ずばり『マッド』。小説はもちろんマンガや哲学書など本のジャンルは関係なく、常軌を逸してギンギンな本をとにかく集めたんです。文脈で編まれた棚づくりはリアル書店だからこそできる企画。ポップやパネルも自分たちでつくり展開しているので、ぜひ立ち寄ってマッドな本に触れてみてほしいんです」
担当書店員おすすめの
お前のMADが目覚める本
特に藤本さんがおすすめするマッド本はありますか? と聞いたところ、以下の3作品を教えてくれた。まず紹介したいのは、ニューウェーブSFの旗手であり、ディストピア的な世界観を多くの作品で描いてきたJ.G.バラードの『クラッシュ』。
自動車事故に魅せられてしまった人々と、倒錯的な性衝動と死への憧憬、テクノロジーとポルノグラフィーが入り交じる著者の代表作だ。
2作目はSFやファンタジーを対象としたヒューゴー賞の第1回長編小説部門を『分解された男』で受賞したアルフレッド・ベスターの『虎よ、虎よ!』。
アレクサンドル・デュマ・ペール『モンテ・クリスト伯』をモチーフにしたSF作品で、25世紀を舞台とした惑星間戦争の中で巻き起こる復讐劇は、SFファンの中でも普遍的な人気を獲得している。
最後は2014年の文化庁メディア芸術祭マンガ部門で新人賞を受賞したルネッサンス吉田の『愛を喰らえ!!』。
詩人・パウル・ツェランの『息の転回』の引用からはじまるこの作品。生きるために男を憎み、しかし本心では愛したいと願っている風俗店店長の百花の物語は、過剰とも思われるモノローグの連続とその会話で強烈な印象を残す。
その他にも古今東西のマッド本が並ぶこのフェアは、9月上旬まで行われるとのこと。マッドな世界への扉は、紀伊國屋書店新宿本店2Fにこうして現れた。
マッドブックス 怒りの書店ロード
日時:2015年8月10日(月)〜9月上旬
会場:紀伊國屋書店新宿本店 2F文芸書売り場フェア棚
URL:https://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Shinjuku-Main-Store/