かつて江戸時代に東海道五十三次の第一宿として栄えた品川宿。現在の北品川から鈴が森までの全長約3.8キロメートルにおよぶこの街道沿いに、“ディープな旅好き”のためのブックカフェ「KAIDO books & coffee」がオープンした。
東京の玄関口・品川で
旅の拠点となるブックカフェを
同店は旧東海道と呼ばれる古い街並を残した商店街の一角に位置し、京急線北品川駅から徒歩5分ほどの場所にある雑居ビルの1、2階を改装したかたちで誕生。近年、新しいマンションや戸建住居が増加する一方、後継ぎ問題や建物の老朽化といった原因で商店街の活気が損なわれてきたことが、同店オープンの背景にある。
KAIDO books & coffeeの立ち上げを企画した株式会社しながわ街づくり計画代表の佐藤亮太氏は、同店が全国への旅の拠点となるような場所になればと期待を寄せる。
「商店街の空き店舗を使って街づくりをする、というのがこの店の大きなテーマになっています。宿場町として栄えた歴史のあるこのエリアに、再び人が集まり、ここから何かが始まっていく。東京の玄関口である品川という場所柄も、店のコンセプトに大きく関係しています。
この商店街もポテンシャルはあるけど、若い人が少ない。ここに関わったら面白い、と思わせるような場を作っていくことが理想で、この店のプロジェクトにも地元・品川を中心に3、40人の様々なジャンルのプロフェッショナルたちが参加しています」
全国各地と連携し
充実のコンテンツを発信
“ディープな旅好きが集う”という同店のコンセプトを支えるのは、選書を担当した「街道文庫」オーナーで日本のジャーニーランのレジェンドでもある田中義巳氏。海外や全国の土地に関係する紀行書や歴史書、小説、地図、雑誌などの古書・新刊のほか、地方の歴史館などに所蔵されている展覧会の図録など、旅先で集めた約4万冊を超える田中さんの蔵書の中から、選りすぐりの1万5,000冊が棚に並ぶ。それらはすべてその場で購入することも可能だ。
併設のカフェで出されるコーヒーにもこだわりが。熊本「AND COFFEE ROASTERS」のオリジナルブレンドが通年で味わえるほか、全国各地のロースターから取り寄せた豆を月代わりで楽しめる。8月は長野県飯田市の「啓榕社」のコーヒーがラインナップに並ぶ。
この他にも、毎月、全国のフリーペーパーや雑貨、民芸品などを展示・販売したり、夜は各地の地ビールを販売したりと、トピックが目白押し。佐藤さんは「オープン後もゆっくり時間を掛けてお店を作っていくイメージ。まだまだ未完成で人が入る余地があるので、まずはこの店を目当てに、北品川に足を運んでもらえれば」と、店と北品川の今後の成長を盛り上げてくれる人材を求めている。
KAIDO books & coffee
住所:東京都品川区北品川2-3-7
電話:03-6404-6388
時間:10:00〜22:00
URL:http://kaido.tokyo/