8月19日(金)、下北沢駅の京王線高架下に「下北沢ケージ」がオープンした。フェンスで区切られたイベントスペースの横には飲食店「鳥籠酒場 ロンヴァクアン(LỒNG VÀ QUÁN)」が隣接し、入り口にはグラノーラ店「GANORI」の移動販売車も停車している。
「下北沢ケージ」は、通常はパブリックスペースとして開放され、イベントにあわせて形を変える。一般客も訪れるナイトマーケット会場になったり、貸し切り会場になったりと、その用途は幅広い。すでに8月24日(水)には古本や古着、レコードなどを販売する「下北沢ナイトマーケット」が予定されている。

入り口にはグラノーラショップ「GANORI」の移動販売車が。
TOwebでは企画が発表された際に「シモキタの広場は街を変えるか 京王線高架下に3年間限定のオープンスペース『下北沢ケージ』誕生」(2016年6月9日)として記事を掲載した。今回、オープンにあわせて、「下北沢ケージ」を主宰するキーマンの3名、林厚見さん(株式会社スピーク共同代表)、石渡康嗣さん(株式会社Wat代表)、草彅洋平さん(株式会社東京ピストル代表)に話を聞いた。
誰でも参加できる、DIYが生きる空間
──以前お話を伺ったときはこれから着工という時期でしたが、こうして完成してみて、どういった感想をお持ちでしょうか。
草彅:これまで個人的に収集してきた家具や雑貨が、ここのインテリアに役立ったんですよね。8年前ぐらいにバリで買った鳥かごを持ってきたら、あっ、このために買ったのかなっていうぐらいぴったりで。
表に停めてある車も林さんたちと一緒に運んだんです。僕たち、相当肉体労働しましたよね(笑)。それに、自分たちもそうですが、いろんな人にサポートしてもらってすごく助かりました。なんというかDIYですね。手づくり感がすごくありますよ。
林:ああ、DIYというのは大きいかもしれませんね。
草彅:普通、どの店も開店時には完成されてしまっていて、お客さんはお客さんという立場でしか関わることができない。でもこの場所は自分たちで好きなようにカスタマイズできて、関われる。すごく自由な空間なんです。
──確かに、余白が多い場所ですよね。訪れてみるとすごく広いし、空間が開けているなあと感じました。
草彅:ケージという形をとっているので、喋っていると外からノイズが入ってくる。そのカチッとしてない感じもひとつの余白だなあと思うんです。
林:キャンバスみたいな感じですよね。下北沢で音楽やってます、みたいな人がやってきて、それぞれが使い方を考える。パブリックな場所にいろんな人の表現欲がマグマのように集まっていくような。
草彅:例えばポートランドって、おじさんが突然街の中にフードポストを作ったりするんですよ。例えば下北沢の人が「ここにこういうの置きたいんだけど」って、この街で生きるアイデアを持ってきてくれたら、我々はウェルカムなんですね。本棚に本を並べて交換しましょうとか。それもひとつのDIYと言えるかもしれないですよね。