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上野の国立西洋美術館が世界遺産へ 国内唯一のル・コルビュジエ建築(台東区)

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2016年5月18日
上野の国立西洋美術館が世界遺産へ 国内唯一のル・コルビュジエ建築(台東区)
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文_編集部

台東区上野公園にある国立西洋美術館が、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界文化遺産に登録される見込みが強まった。事前審査を行っている諮問機関が5月17日(火)に登録勧告を行ったもので、7月10日頃から行われる世界遺産委員会で最終決定となる。

台東区上野公園にある国立西洋美術館。

台東区上野公園にある国立西洋美術館。

今回の勧告は、“近代建築の父”と呼ばれる建築家、ル・コルビュジエの建築群に向けて発せられたものだ。対象となったのは以下、フランスのほか、ドイツやスイス、インド、そして日本を含む7カ国の計17作品だ。

・ヴァイセンホフ・ジードルングの住宅(ドイツ)
・クルチェット邸(アルゼンチン)
・ギエット邸(ベルギー)
・ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸(フランス)
・ペサックの集合住宅(フランス)
・サヴォワ邸(フランス)
・ユニテ・ダビタシオン(フランス)
・ナンジェセール・エ・コリ通りのアパート(フランス)
・サン・ディエの工場(フランス)
・カップ・マルタンの休暇小屋(フランス)
・ロンシャン礼拝堂(フランス)
・ラ・トゥーレット修道院(フランス)
・フィルミニのレクリエーション・センター(フランス)
・チャンディーガル(インド)
・小さな家(スイス)
・イムーブル・クラルテ(スイス)
・国立西洋美術館(日本)

近代建築の5つの要点

国立西洋美術館は1959年(昭和34)に、実業家・松方幸次郎の持つ美術品コレクションを中心に設立されたもの。太平洋戦争中にフランス政府に差し押さえられていた松方コレクションだが、大戦後に返還を受ける際、条件として美術館を設立するよう求められた。そのため日本政府はフランスを代表する建築家として名を馳せていたル・コルビュジエに設計を依頼し、建設が進められた。建設地には上野公園内の寛永寺子院・凌雲院跡地が選ばれ、彼の弟子であった板倉準三、前川國男、吉阪隆正がこれに協力した。

ル・コルビュジエ(1887年〜1965年)。

ル・コルビュジエ(1887年〜1965年)。

また、開館20周年を迎えた1979年(昭和54)には、同館から繋がる新館が新設された。3本の欅・銀杏・楠などを抱き込むように配置されており、これによって中庭が誕生した。設計は前川國男建築設計事務所によるものである。1997年には本館地下に企画展示室がオープンしている。

1979年に新設された新館部分。

1979年に新設された新館部分。

同館はル・コルビュジエが提唱した「近代建築の5つの要点」(ピロティ、屋上庭園、自由な平面、横長の窓、自由なファサード)を軸に設計されている。館内にも、屋上から取り入れられる自然光や、壁をなくし柱と平面で成り立つ構造など、この要点がふんだんに活かされている。

ピロティは、柱と床(天井)が建築を支えることで生み出された、人や風が通り抜ける自由な空間だ。

ピロティは、柱と床(天井)が建築を支えることで生み出された、人や風が通り抜ける自由な空間だ。

ただ現在は、作品を守るために自然採光を蛍光灯に切り替えている箇所もいくつかあるという。文化庁では今後、よりル・コルビュジエらしい元の状態へ戻していくことについても検討していきたいとしている。

台東区から9年越しの思いが届く

世界遺産登録への取り組みは、2007年にフランス政府が日本政府に対して協力を要請したことに始まる。翌2008年に同館が建つ台東区に国立西洋美術館世界遺産登録推進会議が発足し、活動を推し進めてきた。今回の勧告は9年越しの嬉しい報せとなる。台東区役所の世界遺産登録推進室担当者はこう語る。

「2007年から続けてきた取り組みなので、大変嬉しく思っています。現段階では勧告という段階で最終決定ではないので、文化庁や美術館との連携を取りながら、委員会の決定に向けて動いていきたいと思っています」

平日も早い時間から多くの人で賑わう。6月12日(日)までは「日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展」が開催されている。

平日も早い時間から多くの人で賑わう。6月12日(日)までは「日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展」が開催されている。

世界遺産委員会が審議を終え、トルコ・イスタンブールで行われる最終発表は7月10日以降になる。発表の際にはパブリックビューイングも予定されているという。

同館の近辺に立つ、世界遺産をすすめるフラッグ。

同館の近辺に立つ、世界遺産をすすめるフラッグ。

国立西洋美術館の登録が実現すれば、東京都では小笠原諸島に次ぐ2番目の世界遺産の誕生となる。ほど近い距離に浅草があり、海外からの観光客が多く訪れる上野。美術館や博物館、大学を抱える文化の街に、またひとつ新しい顔が生まれる日も近い。7月の最終発表を楽しみに待ちたい。

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