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1951年1月3日、第1回「NHK紅白歌合戦」が放送された。
大晦日の恒例行事ともいえる「NHK紅白歌合戦」。昨年末で第66回を記録した長寿番組だが、その第1回の放送はテレビではなくラジオで行われた。

千代田区内幸町にあったNHK東京放送会館(現・日比谷シティ)。1953年(昭和28)に日本で初めて地上アナログ放送を行った場所でもある。
前身となったのは、終戦を迎えた1945年(昭和20)の大晦日に放送されたラジオ番組「紅白音楽試合」であった。男女が白組と紅組に分かれて歌を競うという、現在の紅白歌合戦のスタイルがすでに完成しており、これは剣道の紅白試合をモチーフにしたものだった。当初の番組名は「紅白音楽合戦」であったが、GHQより「敗戦国が合戦(=BATTLE)とは何事だ」と指摘が入り、「試合」に改めたという。
番組は大きな反響を得たが、2回目を制作する予定はなかった。そのため、大晦日には別タイトルの音楽番組が続けて放送されたが、いずれも「紅白音楽試合」の人気にはおよばなかった。そして5年後、1951年(昭和26)に正月のラジオ番組として復活したのが、のちに「紅白歌合戦」となる「紅白音楽合戦」だった。当時はこれほどの長寿番組になることは予想されておらず、また第2回の予定もなかったことから、ナンバリングは行われていない。スタジオに300人の客を入れた、20時から1時間の生放送だった。
その後、第2回、第3回と正月にラジオ放送されたが、第4回から大晦日へと移った。この回からテレビの公開放送を行うことになり、収録場所として新たに選んだ有楽町の日本劇場(現•有楽町マリオン)の正月スケジュールが空いていなかったことが要因だった。これにより、今日まで続く大晦日での紅白歌合戦が定番化したのである。