政治、芸能、事件、スポーツなど、いつかの東京で起こった”その日”の出来事をご紹介。今日は何の日?
1954年1月2日、皇居一般参賀に集まった人々の間で将棋倒しが発生し、16人が死亡、65人が重軽傷を負った。

1954年1月2日、人が殺到する皇居周辺。
一般参賀は、終戦から3年後の1948年(昭和23)に始まった。事件の起こった1954年(昭和29)には38万人を越える人手を記録したが、これに対し警察官および宮中警備の数はわずか221名であったという。
通行整理が間に合わず、午後になると掘の上の橋は人で溢れかえった。二重橋では警官が整理用のロープをあげた途端に参賀者が殺到。一人の老婆が倒れ、それにつまづくように数十名が折り重なり、将棋倒しが発生した。こうして死者および重軽傷者が発生するほどの大事故が起こったのである。

事件のあった二重橋の様子。
痛ましい事故に、天皇・皇后両陛下から遺族や重軽傷者に対し見舞い品が贈られた。また、この責任をとり、警視庁と皇宮警察本部は責任者9人を処分。この教訓を活かして警備体制が強化されるようになった。『毎日新聞』は死亡者16名の生前の写真を掲載。「新しい振そで哀れ!」の見出しも悲しく踊った。
なお、本年2016年1月2日の一般参賀への参賀者の数はおよそ8万2千人とのことだが、近年は警察署および宮中警備による盤石な警備体制が敷かれ、入場規制とアナウンスによるスムーズな参賀が行われている。警備の少ないなかで38万人が押し寄せたことを考えると、当時がいかに過酷な状況だったかが伺い知れる。