12月、師走の慌ただしさを傍目に、東京は赤と緑に色づき出す。『ジングルベル』が流れ、イルミネーションが灯り、25日まではどの街もクリスマスで活気づいている。
京王バスでは、2009年から「サンタバス」という特別バスの運行を行っている。12月に数回、サンタクロースに扮した乗務員がバスを運転するのだ。

デコレーションされたクリスマスバス(画像提供:京王バス)

今年初日(12月13日)の模様。この日、乗務員はサンタクロースの真っ赤な衣装に身を包む。(画像提供:京王バス)
また、同じくサンタクロースの衣装を見にまとったもう一人の乗務員を車内に配置し、子どもたちにプレゼントを配る。この日だけはバス全体をクリスマス仕様にデコレーションし、車内にクリスマスソングを流しておおいに雰囲気を盛り上げるという。今年はすでに12月13日(日)、19日(土)、20日(日)に開催され、最終日はクリスマスイブの前日、23日(水)となる。
きっかけは乗務員の声
みんなで作ったクリスマスバス
このイベントは京王バスのほとんどの営業所で実施されており、当日は各営業所のバス1台がこのクリスマスバスとして運行している。そもそも、このバスが走り始めたきっかけは南大沢営業所での取り組みからだった。
京王バスの当時の担当者はこう言う。
「もともと、南大沢営業所で独自に行っていた企画でした。京王バス社内には、日頃お客さまと接するなかで社員が考えたアイデアを会社の施策として活用する『I(アイ)プロジェクト』という制度を設けているんです。そこで2009年にプロジェクト化したのがこのクリスマスバスでした」
『Iプロジェクト』によって、これまでに数多くの新プロジェクトが生まれているという。こうしたイベントだけでなく、行き先表示を見やすくしたり、高速バスから路線バスへの乗り継ぎ割引を実施するといったような、細やかなものも多い。

バス車内の飾り付けも乗務員たちでおこなう。(画像提供:京王バス)

運賃箱は暖炉仕様に。(画像提供:京王バス)
普段は営業係としてバスを運転する乗務員が、サンタクロースに扮してお客さまを楽しませるには、それなりの心構えが必要だ。京王バスでは、まずは実施にあたって会議を行うことにした。
「それぞれの営業所からクリスマスバス実行委員を選出して、全員で会議を行いました。みんなが興味を持ってくれるか不安でしたが、そんな思いをよそに乗務員から前向きな意見がたくさん出てきたんです。デコレーションはこうしたほうがいいんじゃないかとか、ポスターはこんな感じでどうかなとか、取りまとめるのに大変なくらいでした。私たちは安全面の部分などをサポートしながら、乗務員のみんなの考えを活かして出来上がったのが今のクリスマスバスなんです」
「笑顔が励みになる」
乗務員の気持ちもほころぶクリスマス
スタートから6年を数え、イベントもすっかり定着した。毎年クリスマスバスを楽しみにしているお客さんも多いという。
「お子さまは、サンタクロースに対して特別な気持ちを持っていますよね。いつも自分が乗っているバスにサンタさんがいる。それだけで子どもたちはすごく嬉しそうなんです。プレゼントを渡して笑いかけると笑顔になる。ご一緒に記念写真を撮ることもありますし、あとでお手紙をいただくこともあります。お客さまに楽しんでもらうために始めたプロジェクトですが、私たちにとっても励みになっているんです」

子どもと一緒に記念写真を撮ることも。12月19日(土)の様子。(画像提供:京王バス)
バスという日常の風景が、その日だけは特別なものに変わる。子どもはもちろん、かつて子どもだった大人も、通勤の合間に少し気持ちが緩むのではないだろうか。
”そり”ではなくバスに乗ってやってくるサンタクロース。今年最後の実施は23日(水・祝)。いつもは電車を選ぶという方も、この日はバスの楽しさを味わってみては。
京王バス「クリスマスバス」
開催日程:12月13日(日)、19日(土)、20日(日)、23日(水・祝)
時間:10:00〜16:00頃 営業所ごとの時刻表はこちら
運行路線:http://www.bus-navi.com/news/957.pdf
URL:http://www.keio-bus.com/news.php?id=959