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36作品に見る戦後東京 ラピュタ阿佐ヶ谷が『東京映画地図』を企画するまで

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2015年12月17日
36作品に見る戦後東京 ラピュタ阿佐ヶ谷が『東京映画地図』を企画するまで
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取材・文_飯田ネオ
古き良き作品を伝える
ラピュタの空間づくり

取材当日、館内では年配の男性客が2人、コーヒーを飲んでくつろいでいた。ロビーにはセルフサービスのコーヒーが用意されており、上映の合間に一息つくことができるのだ。上映作品のセレクトや、ロビーに置いてある浅草「マルベル堂」のブロマイドを見ると、シニア層にとっては居心地の良い、通いたくなる映画館なのではないかと思えてくる。

広々としたロビー。上映前後に映画の感想を語り合うのにぴったり。

広々としたロビー。上映前後に映画の感想を語り合うのにぴったり。

コーヒーや紅茶はセルフサービスで200円。[/caption]

コーヒーや紅茶はセルフサービスで200円。

浅草にあるブロマイドショップ「マルベル堂」のブロマイド。

浅草にあるブロマイドショップ「マルベル堂」のブロマイド。

石井さんはこう語る。

ラピュタシネマクラブという会員制度を設けているんですが、シニアのお客さまが多いですね。でも、若い方も年々増えてきていますよ。遠方から訪ねてきてくださる方も多いです」

50代、60代以上の人には「懐かしい」と思える銀幕の名作たちも、若い世代には新鮮に映るに違いない。レコードを聴く若者が増えているように、モノクロ映画の中に郷愁とは違う良さを感じ取る若者が増えている。

そう、ラピュタ阿佐ヶ谷は、レトロフューチャーというわけではない。年齢、年代に関係なく、面白い作品を選んで上映しているだけで、その感覚はフラットだ。レイトショーとして上映予定の『色情トルコ日記』や『世界最強の格闘技 殺人空手』などのラインナップを見れば、そのセンスにハッとさせられるに違いない。

放送原稿を読み上げる
「お耳拝借予告編」

ラピュタ阿佐ヶ谷が行ってる仕掛けで面白いのが「お耳拝借予告編」だ。上映作品の間、いわゆる「幕間い」と呼ばれる時間に、次回上映作品のアナウンスを行うのだ。

「昔の映画館には必ず館内放送があったんです。私たちは、当時の放送原稿をベースに、少しアレンジして放送を行っています」

映画会社から送られてくるプレスシートには、映画館が映画を紹介するために必要な資料が細かくまとめられていた。その中に「放送原稿」という項目がある。

映画『巨人と玩具』のプレスシート。館内に張り出してある。

映画『巨人と玩具』のプレスシート。館内に張り出してある。

プレスシートに掲載されている放送原稿。俳優の柳澤愼一さんが上映作品によって声色を変えて読み上げている。

プレスシートに掲載されている放送原稿。俳優の柳澤愼一さんが上映作品によって声色を変えて読み上げている。

この原稿をもとに、各映画館が予告アナウンスを流したという。現在では本編上映前に予告編が流れる映画館が少なくないが、当時はスタッフが直接、こうした原稿を参考に読み上げていたのである。昔を知る人にとっては感涙ものだが、懐古的な形でスタートしたわけではないと石井さんは言う。

「昔を振り返って、というよりは、単純に”面白そう”というほうが大きかったですね」

古い仕掛けを新しくアレンジして取り入れていくのも、ラピュタ阿佐ヶ谷ならではといえる。戦後の映画館では当たり前だった光景が、現代に甦るのもまた面白い。

東京の映画館で
東京の映画を観る楽しみ

映画はDVDなどのパッケージ販売や、「Hulu」や「Netflix」などの定額配信で鑑賞できるほど身近なものになった。しかしやはり、スクリーンで見てこそ迫るものがあるはずだ。

「東京映画地図」は当日券のみの販売だという。1950〜1960年代の映画が上映される機会も多くはない。今の東京が、かつてどのような姿をしていたか。せっかく阿佐ヶ谷で映画を観るわけで、観賞後は宮崎さんのように街を歩いてみてもよいだろう。

ラピュタ阿佐ヶ谷へ向かう道すがら。赤提灯もちらほら。

ラピュタ阿佐ヶ谷へ向かう道すがら。赤提灯もちらほら。

駅前から伸びる「スターロード」。八百屋や居酒屋が軒をつらねる。

駅前から伸びる「スターロード」。八百屋や居酒屋が軒をつらねる。

こうして街を歩きながら関連する映画を探して、自分だけの「東京映画地図」を作ってみることをおすすめしたい。

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