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代官餅に舌鼓 438年を経て甦る現代の楽市「世田谷ボロ市」を歩く

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2015年12月15日
代官餅に舌鼓 438年を経て甦る現代の楽市「世田谷ボロ市」を歩く
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取材・文_飯田ネオ
ふくふくと縁起がいい
行列必至の「代官餅」

由来をおさえた上で、現代のボロ市に戻ろう。近年の名物といえば「代官餅」だ。エリア内にある指定重要文化財である「代官屋敷」の名を付けた餅は、ボロ市を訪れたら並んででも食べたいという人が後を絶たない。事実、購入までには1時間から2時間ほど並ばなければならないという。

購入テントまでは長い行列が続く。混雑状況にもよるが、1時間ほどは覚悟したほうが良さそう。

購入テントまでは長い行列が続く。混雑状況にもよるが、1時間ほどは覚悟したほうが良さそう。

代官餅は1975年から地元商店街の手によって生まれた名物だ。ボロ市の長き歴史に比べると短いが、それでも今年で40年である。餅米をふかし、こねて、生成し、味付けをするまで、ほとんどが地域の人たちで運営されている。「お昼行っちゃってくださいね」、「食器洗ってきます」と、やり取りのテンポも小気味良い。行事の中で培ってきた結びつきがそこかしこに感じられるのも、ボロ市ならではだろう。

テント内

テント内

テント内

テント内

テント内

味付けは3種。ベーシックな「きなこ」、「あんこ」のほか、大根ペーストが乗った「からみ」が人気だ。「からみ」は大根おろしとネギ、海苔、鰹節などを醤油で和えたもので、関東や東北の一部で「辛味餅」として親しまれている。大根の苦味と塩気が食用をそそる一品だ。

ひとつ650円(税込み)。ふんだんに餅が詰まっているため、何人かで分けて食べるのが良いだろう。

ひとつ650円(税込み)。ふんだんに餅が詰まっているため、何人かで分けて食べるのが良いだろう。

あんこもたっぷり。

あんこもたっぷり。

クセになる味「からみ」。大根の苦味が効いている。

クセになる味「からみ」。大根の苦味が効いている。

購入テントの外にはイートインスペースも用意されており、無料のお茶を飲みながら出来たての餅を食べられる。

湯のみのサイズも柄もバラバラ。なんだか心地よい。

湯のみのサイズも柄もバラバラ。なんだか心地よい。

行列必至の名物だが、縁起のいい食べ物として知られる餅である。これから新年を迎える縁起物として食べておきたい。

世田谷の伝統行事として
伝統を守る保存会

このボロ市を取り仕切るのは「せたがやボロ市保存会」だ。各町内会の会長をはじめとする有志で結成されており、この伝統行事を後世に繋げていくべく、活動を行っている。開催期間中はブースを設置し、ボロ市の歴史を伝えるためのリーフレットを配布したり、イベントをサポートしたりと活躍している。

世田谷警察ブース横にある、世田谷ボロ市保存会のブース。

世田谷警察ブース横にある、世田谷ボロ市保存会のブース。

保存会のメンバーが着用しているキャップには「古」の文字。

保存会のメンバーが着用しているキャップには「古」の文字。

初日のこの日、11時からは代官屋敷前でくす玉を割るセレモニーが行われた。近隣の弦巻小学校、松丘小学校、桜小学校の3校によるパレードも色を添える。保存会は警察と連携をとりながら、スペースを確保したり通行者を促したりと忙しなく動き続ける。こうした活動は全て、地元の行事だからこそだ。

セレモニーでは人垣が出来た。左手には近隣小学校のPTAブースが。

セレモニーでは人垣が出来るほど。左手には近隣小学校のPTAブースが用意されている。

430年を経て、近年の盛り上がりはかつての楽市のそれに戻ったのではないだろうか。当時を知る者はいないが、ボロ以外の個性豊かな商品が並ぶ様は、伝え聞く楽市の風景を彷彿とさせる。江戸時代に役所として使用された代官屋敷や世田谷城の跡地でもある城址公園など、街の背景をなぞりながら歩けば、今とは違うかつての世田谷の姿が感じられるに違いない。ボロ市の賑わいを楽しみながら、別の角度から眺める世田谷も堪能してほしい。

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