その街を知るには、まず街歩きから。街で暮らす人たちの生活感や、商店街と路地裏のコントラストは、書籍やインターネットで情報を掘るだけでは感じ取ることができない。実際に街に飛び出してみるのがいちばんだ。
そんな街歩きの一助となるのが地図である。Google Mapの普及により紙の地図を手にする機会も減ったが、直接文字を書き込めたり、エリアを限定した細かい情報が得られたりと、紙ならではの良さはまだまだ残っている。中でも手に入れたいのは、市販のものでなく地元の人の手によるオリジナルマップ。今回紹介するのは、「仙川地図研究所」が千歳烏山地域のクリエイターと作った散歩マップ、『見る知る歩く ちとから地図』だ。

『見る知る歩く ちとから地図』(仙川地図研究所/200円税込)
10ヶ月におよぶフィールドワーク
歩いて街を掘り下げる
2013年秋に小森葵氏、笠原文代氏、笠原真志氏の3名で発足した「仙川地図研究所」。クリエイティブ職が集まった制作班と、フィールドワークを得意とする調査班で構成されており、現在の参加人数は14名にのぼる。仙川は調布市の東に位置し、世田谷区や杉並区にもほど近い。世田谷区の千歳烏山は徒歩範囲。フィードワークを中心に、地図をつくるための活動を続けている。
今回製作した『見る知る歩く ちとから地図』は、地図プロジェクトの第2弾。千歳烏山付近の魅力を10ヶ月にわたるフィールドワークで掘り下げ、地図中にはメンバーによる細かい書き込みが盛りだくさんだ。一つひとつのテキストを眺めているだけで楽しい。

メンバーの細かい書き込みがびっしり。

市販の地図には掲載されない地元ネタばかり。映画のロケ地情報も。

「イラストで語るちとからのツボ」。商店街や区民センターなどをイラストで紹介。
街歩きのヒントが満載
表も裏も充実の1冊
また、裏面の「美味しいおやつとたのしい寄り道のすすめ」では、パン屋やカフェ、米屋や中華そば屋まで、地域に根ざした店主たちが登場する。

千歳烏山周辺の店主たちが勢揃い。賑やかな顔を覗かせる。
また、マップだけでなく「まち歩きのヒント」として「川・水路跡をめぐる」、「団地をめぐる」などのコラムを掲載している。暗渠が多い千歳烏山エリアの、地域の特性を面白く紹介している。

コラム「まち歩きのヒント」。ここを押さえつつ歩けば、より街に詳しくなれるはず。
値段は200円(税込)。販売箇所は千歳烏山や線川周辺のカフェやギャラリーなどで、詳細は公式ブログに掲載されているので参考にしていただきたい。また、通信販売も行っている。
カフェやパン屋などのスポットも押さえながら、暗渠や団地といった地域性が際立つポイントを、街歩きの視点で取り上げたマップ。「かつてスイミングクラブがあった」、「コンクリートの蓋が象の鼻っぽい!?」など、何気ない書き込みが千歳烏山への愛を感じさせる。さらには、メディアが伝えるものとは少し違った街の輪郭が見えてくるに違いない。
仙川地図研究所「見る知る歩く ちとから地図」
発売日:2015年11月22日(日)
発売場所:千歳烏山周辺 http://sengawakko.exblog.jp/ 、通信販売 sengawamap.com/?page_id=17