渋谷区は、本日2015年10月23日(金)に「パートナーシップ証明書」の公布を11月5日(木)に行うと発表した。この公布により、所定の手続きを踏んだ同性のカップルは、婚姻関係と同等のパートナー関係であることを認められる。交付申請受付は10月28日(水)から。

10月に美竹エリアに移転した渋谷区役所仮庁舎。新庁舎の改装が終る2018年まで営業する。
渋谷区が全国初
「パートナーシップ証明書」とは?
「パートナーシップ証明書」とは、今年4月に全国で初めて制定された「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」に基づいて公布される証明書だ。「渋谷区パートナーシップ証明書の案内」では次のように規定されている。

「渋谷区パートナーシップ証明書の案内」(渋谷区公式サイトより)
■パートナーシップ証明書とは
法律上の婚姻とは異なるものとして、条例において、男女の婚姻関係と異ならない程度の実 質を備える戸籍上の性別が同一である二者間の社会生活関係を「パートナーシップ」と定義 し、二人がパートナーシップの関係にあることを確認して証明するものです。
■対象者の条件
・渋谷区に居住し、かつ、住民登録を行っていること。
・20歳以上であること。
・配偶者がいないこと及び相手方当事者以外の者とのパートナーシップがないこと。
・近親者でないこと。
公布を受けるには、指定の公正証書を事前に取得しておく必要がある。取得費用は自己負担。また、事前相談は「渋谷区男女平等・ダイバーシティ・センター アイリス」で受け付けている。
証明書で何ができるのか
NTTドコモは「ファミリー割引」適用を発表
TOwebでは、「世田谷区同性パートナーシップ要綱から考えるLGBTの未来について」(2015年8月11日)で、この「パートナーシップ条例」が抱える問題点について触れた。条例には結婚相当の法的効力がまだなく、証明書にどういった権利が得られるのかも具体的ではない現状がある。
そうした問題もあるなか、渋谷区では本証明書の公布により、区内の事業者に同性カップルへの公平で適切な対応を求める。著しい人権侵害が見られる場合は、指導や勧告を行うことも検討するという。
この発表を受けてNTTドコモは本日、同社が実施している家族向けの「ファミリー割引」などのサービスを、パートナーシップ証明書を持つカップルにも適用すると発表した(「NTTドコモ報道発表資料」より)。
もちろん、同性カップルが望むのは”サービス”ではない。住居を借りたり、通院をしたり、就職をしたりと、生活におけるあらゆる場面で、夫と妻として当たり前の権利を望むだけだ。NTTドコモのような取り組みはその一端に過ぎないが、今後の渋谷区の働きかけによって、この証明書の有用性もはかられていくのではないか。
会見で長谷部健渋谷区長は、「同成婚ではないが、風穴が開いたとは思う」と発言した。世田谷区でも11月5日に証明書の公布を予定しているという。東京で開いた小さな風穴は、変化の礎を築けるだろうか。
渋谷区パートナーシップ証明書
発行受付日:2015年10月28日(水)〜
公布日:2015年11月5日(木)
■発行受付・証明書交付窓口
渋谷区役所 仮庁舎第一庁舎東棟1階 住民戸籍課
住所:渋谷1-18-21
営業時間:8:30〜17:00(土日祝・休)
※手続きは、申請者のプライバシーに配慮して個室スペースで対応
■事前相談窓口
渋谷男女平等・ダイバーシティセンター
住所:桜丘町23-21 渋谷区文化総合センター大和田8階)
休館日:月・第3日・祝日の翌日・年末年始)
営業時間:9:00〜17:00
電話:03-3464-3395
URL:https://www.city.shibuya.tokyo.jp/est/oowada/partnership.html