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コミュニティを紡ぐ、新しい“図書館”

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コミュニティを紡ぐ、新しい“図書館”
FEATURE
東京で起こっているハイパーローカルな動向を独自取材し、特集形式でお届け。
2019年4月23日
コミュニティを紡ぐ、新しい“図書館”
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文_編集部
目指すのは、亀有ならではの“懐の深い場所”

空間ごとの棲み分けもミッカの特徴。こちらはギャラリーとして、期間ごとの展示がよく行われるスペース。 Photo Kazuomi Furuya

── しかし、ここまで挑戦的な場は、区も関わる施設としては実現が大変だったと思います。リリオ亀有のリノベーション・プロジェクトの一環とききましたが、どのようにスタートしたのでしょうか?
山本:このビルはUR都市機構さんが96年に建てたのですが、20年経ち、近くに新しい商業施設も増えて少し活気がなくなっていました。でも作ったからには、再び盛り上げないといけないというURさんの想いがあった。建物の運営会社にも同じ想いの方がいて、両者で葛飾区に相談したところ、駅前のランドマークだから協力の余地はあるという話に。そこでTone & Matterに声がかかり、具体的な検討が始まりました。

── 民間が主体で、区が協力するというかたちなのですね。
山本:皆さんに亀有の印象について聞かれたところから始まって、5年かけてオープンに至りました。

色分けして本を並べる「だるま」の棚。「本当はもう一段あったのですが、大きすぎて危ないから、だるま落としで一つ外しました(笑)」とのこと。

毎週末に「シアター」スペースで行なっている落語の催しから。Photo Kazuomi Furuya

── HPにあるように、設立にも運営にも様々なクリエイターが関わっていますが、ミッカを作っている時はどんな雰囲気だったのでしょうか?
山本:柔らかい感性の方が多いので、作る時も楽しい遊びがありました。「色分けして本を収める棚がほしい」と言ったら何故かダルマになっていたり(笑)。子どものための場でしたけど、むしろクリエイターの方々が子どもみたいに自由にやってくれましたね(笑)。オープンしてからもイベントなどで折々にお越しいただいています。

── オープンしてからは、落語家さんや芸人さんも、毎週イベントをやっているそうですね。
山本:「自分が非日常の存在になったら意味がない」と言って、毎週来てくれているんです。そうすると、テレビに出ている芸人さんでも子どもにとって日常の中の人になる。好きなことを仕事にしている人が身近にいることは、将来の選択肢を考えるために素晴らしいことだと思うんです。

── 羨ましい環境です。
山本:芸人さんにとっても、いい刺激の場になっているようです。芸人さんも、ワークショップなどをしてくださるクリエイターさんたちも、いつも子どものやることや作ったものを見て、「羨ましい」、「悔しい」って言ってます(笑)。

── お互いにいい効果を生んでいるんですね。
山本:逆に、子どもも大人に憧れるものです。小学生の常連さんたちは、運営側の真似をしたがる。勝手に放送局とか恋愛相談室を作ったり、新聞を作ったり。私たちはそれに真面目に相談にのって、手伝っています(笑)。

子どもたちが発案した番組「ミッチューブ」の様子から。

常連の子どもたちが作った「ミッカの新聞」。スタッフへのインタビューが載っている。

── 子どもが自由に集まれる場があることは、街にとってとても大事だと思います。
山本:ミッカの中でも一番の目標は「懐が深い場所」であることです。葛飾区は子育てのための施設が充実していて、優しくケアしていただけるところは既に充分あります。なので、ここはむしろ色々なことを勝手に試せる場所にしたいんです。スタッフには保育の経験のある人もいますが、元劇団員がいたり、造形教室の先生だった子がいたり、面白くしていくために様々なタイプの人が運営にあたっています。

ミッカで行った、創作家「トントンちくちく」氏によるワークショップの様子。Photo Kazuomi Furuya

── 素晴らしい人選ですね(笑)。地域の方々はどのような反応でしたか?
山本:ここがある種、挑戦的な場であることをふまえて、協力的に対応してくださる方が多いです。たとえば行き過ぎたイタズラをした子がいて、スタッフが「禁止はしない」という指針の上怒るのを躊躇していたら、後で「きちんと怒っていいんですよ」とお手紙で伝えてくれたり。街の人に見守ってもらいながら、場を一緒に作らせていただいている気がします。

── 利用される皆さんの間での交流も増えているんでしょうね。
山本:意識はしていませんでしたが、自然と増えていますね。子どもたちも、他校の生徒同士が知り合う場になっていますし。このビルのサイズ感も、程よく小さくてコミュニケーションが生まれやすい場なんです。でも、東京でもこの地域は特に人と人との距離が近い気がします。

── やっぱり亀有の土地柄でしょうか?
山本:そうかもしれません。亀有の磁場といいますか、粋な江戸っ子気質な方が多いんです。落語家さんも、区役所からご紹介いただいた方が、オープン間際にその場で電話して出演を決めてくれましたし(笑)。皆さんが、お互いに顔が見えている印象ですね。

山本曜子氏。「ミッカ」のエントランスを背に。

大人にとっても刺激的なクリエイティブで生まれたミッカ。ミッカでは、4/7の1周年を記念して、来場者特典のステッカーを配布中(無くなり次第終了)。ゴールデンウィークも5/7(火)・8(水)以外は通常営業をしており、ギャラリースペースでは「KOREA 韓国 海の向こうの絵本展」を5/31(金)まで開催中。お子さんのいる読者はぜひ足を運んでみていただきたい。

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