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コミュニティを紡ぐ、新しい“図書館”

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コミュニティを紡ぐ、新しい“図書館”
FEATURE
東京で起こっているハイパーローカルな動向を独自取材し、特集形式でお届け。
2019年4月23日
コミュニティを紡ぐ、新しい“図書館”
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文_編集部

最近の「図書館」が面白い。若手のクリエイターを企画に起用したり、幅広い世代が集まる場として盛り上がったり、いわゆる「図書館」の概念をアップデートしているケースが増えている。今回はそんな図書施設にフォーカスし、4月にちょうど1周年をむかえた葛飾区・亀有駅前の「絵と言葉のライブラリー ミッカ」をはじめ、東京の「新しい図書館」を紹介する。

手さぐりで育ててきた、子ども限定ライブラリー

リリオ亀有の7階フロアの、ミッカの入り口に立つ看板。ロゴキャラクターをはじめ、ミッカを彩るユニークなグラフィックは大日本タイポ組合が手がけた。

亀有駅前の商業ビル「リリオ亀有」。約3500冊の蔵書を揃える民間図書施設「絵と言葉のライブラリー ミッカ」は、この7階フロアのリノベーション・プロジェクトの一環として2018年4月にオープンした。子ども(16歳未満)限定のライブラリーとなっており、大人のみの入館は不可。入館には会員登録が必要で、小学生以下は無料、中学生以上は有料となっている。
オープン1周年を経た今、その会員は6000人を超え、亀有の子育て世代、そして地域の子どもたちに早くも定着しつつある。複数の企業と葛飾区による協業プロジェクトは、クリエイティブとビジネスを繋ぐ様々なプロデュースで知られる「Tone & Matter」が、数々のクリエイターたちと取り組んだ。設立プロジェクトのメンバーであり、今は館長として日々ミッカの運営にあたる山本曜子氏にお話をうかがった。

男の子に人気が高いという車のカタログを手に広げる山本氏。蔵書は、本来の味わいを大事にするためにもビニールのカバーをつけていない。

── これまでの「図書館」の概念を変えるような、素敵な空間ですね。色々と気になるのですが、まずは主役といえる本のセレクトについて。絵本を中心に、写真集やアートブック、そしてマンガなど、大人向けの本も多く見られます。これはどのように選んでいるんですか?
山本:「好奇心をかきたてること」を目的に、絵や写真と言葉でできた本だけを、独自の基準で毎月セレクトしています。新刊・古書・洋書・自費出版本・ZINEなど様々な出版物を集めるので、仕入れは多岐にわたります。ここは公立の「図書館」ではないので、自由度が高いのです。

── マンガやアートブックは、子どもにもいい刺激になりそうです。
山本:お父さんやお爺ちゃんの本棚にワクワクした記憶って、皆さんありますよね。その気分を思い出しながら選んでいます。一般的な公立図書館では評価が分かれますが、ミッカにとってマンガはとても大事。「こち亀」と「キャプテン翼」は必須です!(笑)

絵本だけでなく、美術書や写真集、マンガやカタログなどが並ぶ。本のテーマに合わせたディスプレイもユニークだ。Photo Mukuo Uta

── 貸し出しはしていないのですね。
山本:運営上の都合もありますが、この規模で貸し出しをするとなると本の管理が大きな負担になってしまう。すると、子どものための「場」であるという目標に集中できなくなるんです。

明るい窓辺にある読書スペース。通常だとビニールカバーがよく使用されるが、落ち着ける空間にするためにファブリックのソファーを用いている。

テキスタイルデザイナーのメリンダ・パイノ氏によるカーテンの刺繍もポイント。Photo Kazuomi Furuya

── この場は、全ての空間がゆったりと繋がっていて、人の家に来たような不思議な開放感がありますよね。
山本:最初は何となくの区分けしかなかったのですが、展示のスペース、図工をするスペース・・・と役割ができてきました。ラグを敷いたらそこが本を読む場所になったりしますし、何かを配置することで自然と空間ができていくんです。その中で特に気をつけたのは、「禁止」サインを貼らないことです。

── たしかに! 図書館というと、お喋りや飲食などたくさんの注意書きがあるイメージです。
山本:「禁止」って、無意識のうちに人を緊張させてしまいますよね。だから、たとえば家具や植栽の配置を調節して真っ直ぐの道を作らないことで、子どもが走りにくくしたりしています。また、子どもたちのテンションが上がりすぎちゃったら、音楽を徐々にボリュームアップしていって急に止めると「ハッ!」として静かになったりします(笑)。

── 見えない工夫でコントロールしているんですね(笑)。
山本:そうなんです(笑)。でも、放っておくと、あちらが盛り上がったら、こちらに静かにしたい子が集まったりして、利用者の方同士で自然と棲み分けをしていくものです。だからこちらが過剰に手を差し伸べる必要はないんです。そうやって子どもが自由に過ごせる場を模索しながら、色々な仕組みを一から考え直した一年でした。

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