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“アングラ”再訪 #1紅テント 座長代行と看板女優が語る、2019年の「劇団唐組」

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“アングラ”再訪 #1紅テント 座長代行と看板女優が語る、2019年の「劇団唐組」
FEATURE
東京で起こっているハイパーローカルな動向を独自取材し、特集形式でお届け。
2019年2月1日
“アングラ”再訪 #1紅テント 座長代行と看板女優が語る、2019年の「劇団唐組」
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文_編集部
“アングラ”はナイフのように心を刺す

『黄金バット』(同上)より、久保井演ずる男(タキザワ)が語るシーン

── 久保井さんが座長代行として芝居を作っていくにあたり、これから来るお客さんへはどのようなところを見せていきたいですか?

久保井:芝居のあとに話していると、20代のお客さんが「懐かしい」って言ったりする。初演の頃にはお前は生まれてもいないだろう、と思いますけど(笑)、それは、唐さんが人間に対して感じたことをソリッドに、あるいは情感たっぷりに描き出しているからだと思うんです。そんな唐十郎の物語にある普遍的な感情や気持ち、それと純粋なドラマツルギーの面白さを強調していきたいですね。

── 昨年の秋公演での「黄金バット」に登場する「風鈴学級」の雰囲気にも、子どもの頃の切ない気持ちだったり、何か懐かしいものを感じました。

久保井:あそこに描かれているのは、たとえば今盛んに言われている「適応障害」のような話。30年以上前に、唐さんが書いているんです。自分の体験を振り返りながら、なかなか外に自分を開けない人に対して、もっと、愛情を持って付き合わないといけないんじゃないか、と感じながら書いたんじゃないかな。

『黄金バット』(同上)より、主人公ブドリと、福本雄樹氏が演じる青年・ヤゴ

── 何だかそんな優しい雰囲気も感じました。見ている時はスピードが速すぎて、そうだと分からないのですが(笑)。唐さんの芝居は難解さもありますが、あの節回しとリズム感に取り込まれます。役者としては、どう感じますか?

藤井:長ぜりふには驚きます。ええ、まだある!って(笑)。でも不思議と声に出していて、気持ちいいんですよ。

久保井:脚本は「聞こえてくる声を書き留めているだけ」と唐さんはよく話していましたね。大学ノートに万年筆で、何ページか同じスピードで書き続けて一切書き直しがない。しばらくしたらノートを閉じて、「今日はオシマイ」って言って酒を飲む(笑)。シュルレアリスムを地で行ってるんです(笑)。

── すごい(笑)! 唐さんがのらりくらりと登場するのと、客席から必ずかかる「ヨッ、唐!!」の掛け声も楽しみでした。

久保井:最初に考えるのは、自分がどうやって登場しようかなーってことでしょうね(笑)。

── でも、唐さんが出てきそうな空気感はそのままですね。皆さん、役者も裏方も兼任してますけど、舞台も作るんですか?

藤井:稽古の後の夜に塗ったり、作り込んだり。作業場は都内で転々としているんですが、だいたい事故物件のようなすごいところ。スズメバチが巣をつくったりして(笑)。若い劇団員が野に放たれて、自転車で探してくるんです(笑)。

── 大変ですね(笑)。若い劇団員も増えているようですね。

久保井:興味を持っていただいているんですね。でも、こういう芝居は、若い頃しか「やろう」と決断できないんじゃないかな。今は舞台の技術も進化して、レンタルスペースも多くあるから、表現全体が省エネ化してしまっている気もします。どちらがいいというわけではないのですが、小さなスペースを借りてやる芝居と、うちのように、ほとんど人力でやる芝居の熱量は全然違うもの。もうじき今年の新人募集の締切なのですが、ここに骨を埋めたいと思う人に、是非来て欲しい! 僕の時代のように「芝居人は貧乏暮らしは当然」とは思ってないですけど、多少はその覚悟もしている人(笑)。

── 世代交代の時期なのですね。“アングラ”とは人が勝手に言ったものかもしれませんが、その当事者である久保井さんにとって、“アングラ”って何なんでしょうか?

久保井:何をやったら観客の中にナイフのように入り込んでいくか。何やってもいいから、そんな衝動を突き詰めるのが「アングラ」じゃないですかね。だけど「アングラ」って、ほんとうは特徴も何もないですよ。「自分はアングラなんて作ろうと思ってない。面白いもの作ろうとしているだけ」と唐さんもよく言っていました。

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