オリンピックに向けて
変わりゆく吉原の街
──ブランドとしては、今後はどのように成長させていきたいと考えてますか。
ブランドとしての野望とかはあまりなくて。ただ、5年後にオリンピックがあるなあっていうのは、ぼんやりと思ったりはしますけど。吉原って外国人の方はお断りされる店が多いっていう話を耳にしたんですけど、それを変えていかなきゃダメだっていう反対派も一方でいるみたいで。東京が盛り上がっていく一方で、吉原だけがそこに絡むことができないっていうのも……。
──東京オリンピックに向けて、繁華街や性風俗に対して規制や摘発が増えるということも囁かれてますね。
吉原の隣の山谷に外国人のバックパッカーが増えて盛り上がっていくということも言われてますけど、最近、どんどん古い建物が取り壊されて、建て替えが進んでますよね。昔に比べたら、山谷もかなりきれいになりましたから。
危険度でいえば、山谷は吉原よりずっと危ないって言われてましたし、小さい頃からあまり寄り付かなかった。そういうのもずっと見てきて育ってるから、オリンピックによっていきなりパーンって散っちゃうのも少し悲しいなって思います。
──ただ吉原を背負って立つような意識でもないだろうし、こう、グイグイとモノづくりに励むということとも違いますか。
まあ実家があるし、というか、それくらいがいいのかなと思ってるんですよ(笑)。編集の仕事をしていた頃とか、周囲のみんなはもっとガツガツしてましたけど、私は当時からボーッとしてたタイプなので。いつも見習わなきゃいけないと思いながら、どうしてもこのペースなんですよね。
どこかデザインがユルいって言われるのも、そういうことだと思ってます。本当に作りたいものがない限りは、あまりガツガツしない。今後もそれは変わらないと思います。
※本企画内に掲載された商品はすべて税込み価格となります。
※土産物ブランド「新吉原」は吉原公認のブランドではありません。
岡野弥生
おかの・やよい/東京都台東区出身。粋な江戸土産〈新吉原〉デザイナー。高校を卒業後にロンドンへ留学。帰国後はいくつかの出版社に編集や営業として勤務した後、2014年にブランド〈新吉原〉をスタートさせる。現在、同ブランドのアイテムは浅草「フウライ堂」、中目黒「KAPUKI」、羽田空港「DESIGN JAPAN CULTURE STORE」などで購入可能。