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六本木の禁秘領域で何が起こっているのか サザエBOTの中の人に聞く:「#ブラックボックス展」インタビュー

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六本木の禁秘領域で何が起こっているのか サザエBOTの中の人に聞く:「#ブラックボックス展」インタビュー
FEATURE
東京で起こっているハイパーローカルな動向を独自取材し、特集形式でお届け。
2017年6月8日
六本木の禁秘領域で何が起こっているのか サザエBOTの中の人に聞く:「#ブラックボックス展」インタビュー
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文・写真_飯田ネオ
ロジックではなくポエジーの時代へ

──我々はついテクノロジーというか、目に見えて理解できそうなもの、で未来を語りがちですが、そこではないですね。

詩人・谷川俊太郎の処女詩集がなぜ『二十億光年の孤独』(東京創元社)かといえば、それは刊行された当時(1952年)、宇宙の広さが20億光年とされていたからです。しかし彼は詩の力で、その科学的事実を越えてみせた。また2006年には「闇は光の母」(集英社『詩の本』収録)という詩のなかでダークマター(注)について触れ、「闇は無ではない 闇は私たちを愛している」と表現しています。

注:銀河系や銀河の間に大量に存在すると考えられているが、光や電波・X線などではまったく見ることのできない仮設上の物質。間接的に存在を示唆する情報にとどまり、全容は明らかにされていない。暗黒物質とも言う。

詩には数値化されたものを超える力があります。合理性を追求した結果、副作用として詩が失われてしまった時代ですから、今回「BLACK BOX」の感想に多くのポエムが投稿されたことについても、とても嬉しく思います。

──昨今では「ポエム(笑)」と揶揄されがちな風潮もありましたが、本来詩が持つ力はもっと内在的で、強いものですよね。

2017年はまだ、外側は新しくても中身は古いものばかりです。例えば企業が、多額の資金や技術を投下して「すごいもの」を作っているにも関わらず、見向きもされない、または一時的に消費されて終わってしまうのは、リアリティに敏感なアフターインターネット世代に対し、未だに力技で企業目線のストーリーを押し付けているからに他なりません。

もはやナラティブの時代ですから、誰もが架空の「私たち」ではなく、実在する「私」の物語を生きています。それは個人的で、生々しく、時に醜いものです。よって均一化された「ポップ」は必要なく、むしろいかにそれを無視し、多様性を許容できるかが鍵となります。次世代はそんな「カオス」の中にだけ、リアリティを見つけることができるのです。

──まだ何も始まっていない段階から、仮想上で誰かをターゲティングして、そこにあったコンテンツを…ということがまだ繰り返されていますからね。「カオス」を捉えることは、今の、移り変わりの激しい時代に必要な気がします。

本質的に必要になる能力は、例えばNewsPicksでピックされるような、より多くの情報を効率良くインプットし、より早くメール返信を行うといった表面的なものではなく、むしろ逆で、それらをいかに手放すか、情報から距離を置けるか、その勇気にも似た能力に尽きると思います。加速する時代だからこそ、そこを意識せずゆっくり過ごすこと、心にゆとりを持つこと。「BLACK BOX」もまた、2017年を生きる量産型ボットの奥に宿る人間性を、強制的に目覚めさせる装置として機能しているのかもしれません。

──「BLACK BOX」を観た後だと、よりその言葉が沁みる気がします。色々と示唆に富むお話をお伺いできたと思うのですが、最後に、読者に一言あればお聞かせください。

未来人を自称し、また「中の人よ」と名乗る私がここで発信できるメッセージは、「The World is You(世界はあなた自身)」ということだけ。そしてそれゆえに「ANONISM(匿名的言動を意識する主義)」の重要性を説き続けています。この通過儀礼を超えた先の「あなた」に幸あることを、私は心から願っています。

私もサザエさん、あなたもサザエさん、私はあなた、あなたは私、ですから。

※初出時、記事中に誤記載があったため訂正いたしました。

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