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東京イチの危険地帯墨田区から考える東京の災害(後編)

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東京イチの危険地帯墨田区から考える東京の災害(後編)
FEATURE
東京で起こっているハイパーローカルな動向を独自取材し、特集形式でお届け。
2016年9月1日
東京イチの危険地帯墨田区から考える東京の災害(後編)
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文_江口晋太朗、写真_山本正大、イラスト_大川久志、編集_桜井祐
災害を恐れながらも
防災の実行動に移らない日本人

災害に備えるためには、行政などの公的機関による「公助」、地域コミュニティによる「共助」、自身で身を守る「自助」、三つの「助」を作ることが大切だとされている。これまで見てきたように、墨田区においても、防災力の向上を高める地域コミュニティ作りへの考えは次第に浸透してきており、公助や共助に対する取り組みは増えてきている。しかし、阪神淡路大震災の時と同じく、いまだ自助の動きは活発化していない。

「防災団地」として有名な1979年竣工の「白髭団地」。最大10万人が収容可能 な全長1.2キロの巨大団地。防火扉や放水銃などの設備も充実している。

「防災団地」として有名な1979年竣工の「白髭団地」こと「都営白髭東アパート」。最大10万人が収容可能な全長1.2キロの巨大団地。防火扉や放水銃などの設備も充実している。(所在地:墨田区堤通2)

一般社団法人経済広報センターの2013年調査によると、3人に2人が自身の災害への備えは不十分と認識している一方、2人に1人が東日本大震災直後は防災意識が高まったが、最近は薄れつつあると答えている。また、全国と東北3県で震災に関する意識調査を行った『震災白書2014』によると、地震・災害に対する備えの1位は日用品・水・食料品の備蓄(全国40.3%、東北3県56.1%)で、他にも家具や家電等の転倒・落下防止や緊急地震速報や災害通知サービスの利用・登録が上位にあげられていた。

最先端の災害シミュレーションをもとに、地震や暴風雨体験、消防災の取り組みを学ぶ2時間の体験ツアー。火や煙避難などの模擬実演ができるこの場所では、大人から子供まで、すべての人が災害知識を楽しみながら学ぶことができる。

最先端の災害シミュレーションをもとに、地震や暴風雨体験、消防災の取り組みを2時間の体験ツアーで学べる「本所防災館」。火や煙避難などの模擬実演ができるこの場所では、大人から子供まで、すべての人が災害知識を楽しみながら学ぶことができる。(所在地:墨田区横川4−6−6)

しかし、日頃からの近隣との付き合いや防災訓練への参加、家屋の耐震補強といった災害対策への備えなどは全国・東北3県ともに10%前後と低く、防災への実践な取り組みはいまだ不十分といえる。つまり、災害に対して常に不安を抱きつつも、防災訓練や耐震補強などの防災の実行動にまで伴っていないのが現状で、災害をどこか他人ごと、もしくは自分に関係ないものだと考えている傾向から脱していないのが今の日本人なのだ。

実際の火災を映しだした大型のスクリーンに向け、本 物の消火器で水を吹きかけ、火を消すシミュレーショ ン。火災時にすぐに消火栓で消火できるように消火器 の使い方をレクチャーしてもらえる。

同じく「本所防災館」。実際の火災を映しだした大型のスクリーンに向け、本物の消火器で水を吹きかけ、火を消すシミュレーション。火災時にすぐに消火栓で消火できるように消火器の使い方をレクチャーしてもらえる。

社会システムと個人の
行動両方の仕組み作りが必要

確かに、人が被災する機会は一生に一度あるかどうかのできごとだ。ただ、自身が被災の経験がなくても、疑似体験やその恐ろしさを共有する情報社会環境は整ってきており、学ぶ場も増えてきつつある。過去のアーカイブされたできごとは、未来をより良いものにするための道標でもあると考えることから、まずは始める必要があるだろう。

(左)秒速20m以上もの暴風雨を実体験しながら、風水害の怖さを実感することができる。(右)日本でも数少ない、油圧式振動機で立体的な揺れを再現した地震シミュレーション。深度7弱までを設定でき、想定されている首都直下地震体験、さらにデータをもとに阪神淡路大震災や東日本大震災の地震を忠実に再現した地震も体験できる。いざという時に迅速に行動できるよう、ぜひここで生の地震を体験してほしい。

「本所防災館」の体験は多岐にわたる。(左)秒速20m以上もの暴風雨を実体験しながら、風水害の怖さを実感することができる。(右)日本でも数少ない、油圧式振動機で立体的な揺れを再現した地震シミュレーション。深度7弱までを設定でき、想定されている首都直下地震体験、さらにデータをもとに阪神淡路大震災や東日本大震災の地震を忠実に再現した地震も体験できる。

今一度、災害の教訓から学べるものを考え、普段の行動で対処できるもの、政府や行政、民間企業などが連携し、社会システム全体として災害に対して対処するための仕組みを構築していくことが求められる。災害予防としての防災だけでなく、いざ災害に見舞われてもそこからすぐに臨機応変に対応して立ち戻るための地域コミュニティづくりや社会システムとしての災害対策など、まだまだやるべきことは山積しているのだ。

いざという時にどう振る舞うか。来たるべき時に手遅れとならないよう、普段からの備えと日頃の行動を、今一度振り返ってみてはどうだろうか。

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