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東京でペットと逃げるには 「いっしょに逃げてもいいのかな?展」で学ぶ“同行避難”

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東京でペットと逃げるには 「いっしょに逃げてもいいのかな?展」で学ぶ“同行避難”
FEATURE
東京で起こっているハイパーローカルな動向を独自取材し、特集形式でお届け。
2016年5月17日
東京でペットと逃げるには 「いっしょに逃げてもいいのかな?展」で学ぶ“同行避難”
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写真_下屋敷和文、文_編集部

未曾有の災害に遭遇した時、私たちはペットと一緒に逃げてもよいのだろうか。ペットと暮らす人々にとっては家族の一員である動物たちも、アレルギーのある人や動物が苦手な人にとってはトラブルの元となり得る可能性がある。果たして避難した場所で、ペットのための安全な居場所を確保することができるのだろうか。

こうした問題を主軸に生まれた企画展「いっしょに逃げてもいいのかな?展」が、4月23日(土)から5月22日(日)まで世田谷文化生活情報センター生活工房で開催されている。ペットと災害について様々な取り組みを行う〈NPO法人ANICE〉の代表を務める平井潤子さんが監修し、5組のクリエイターが制作したプロダクトなどとともに、災害時のペットとの「同行避難」について解説している。

会場は、田園都市線三軒茶屋駅直結キャロットタワー3階にある。

会場は、田園都市線三軒茶屋駅直結キャロットタワー3階にある。

会場内の大型パネルには、災害発生時のアクションをチャートで図解。

会場内の大型パネルには、災害発生時のアクションをチャートで図解。

5月7日(土)には参加者らによるトークセッション「もしものために、必要なもの」が行われた。そこでは「同行避難」とはどういうものなのか、また飼い主はどういうことを心がけるべきなのかといった具体的な話や、プロダクトを作ったクリエイターたちの思いが語られた。また、まだ余震の続く熊本に訪れた平井さんが、現地で実際に見て感じたことを写真付きで解説してくれた。

本記事はそのトークイベントの模様を、イベント後に平井さんに伺った「東京で気をつけるべきこと」とともにお届けする。司会進行を務めるのは本イベントのディレクターを務める小山奈々子さん。

熊本で通用したことが
世田谷で通用しないこともある

──災害におけるペットの「同行避難」について色々な課題があります。まずは起こっている問題や課題について、ペット防災のスペシャリストの平井潤子さんにお話いただきたいと思います。

平井:この企画・展示を検討しているときには、まさか熊本でこれほど大きな地震が起こるとは思ってもみませんでした。熊本の皆さんにとっても予想外の規模の地震だったようです。地域柄、台風の被害にはとても注意をされていたため、屋根瓦が飛ばないようにしっかり留めてあり、地震が起こったときに瓦がずり落ちず、その重みで家屋が倒壊して被害が出ることもあったとのこと。災害被害の地域性について考えさせられたできごとです。 これまでいろんな各地の震災の現場を見て、検討されている解決策がオールマイティではないということを痛感しています。熊本でうまくいったことが東京の世田谷では通用しないこともある。その時その時の状況に合わせていくことが必要なのかなと思っています。

動物の防災を考える市民ネットワーク〈NPO法人ANICE〉の代表・平井潤子さん。災害時に飼い主とペットがともに避難する「同行避難」について、広く報提供を行っている。

動物の防災を考える市民ネットワーク〈NPO法人ANICE〉の代表・平井潤子さん。災害時に飼い主とペットがともに避難する「同行避難」について、広く報提供を行っている。

まず最初に考えていただきたいのは「避難する」とはどういうことなのか、ということです。大規模災害があると、まず全員が避難所に行くと思いがちです。でも行き先が避難所とは限らないケースもあります。例えば、津波が来るとわかっている時に、海辺の避難所には行かないですよね。つい固定観念で「災害が起きたからみんなで避難しよう。じゃあ避難所に」と考えてしまいがちですが、「同行避難」というのは、危険な場所から安全な場所にペットと一緒に避難すること。指定の避難所が危険な場合もありますから、落ち着いて判断し、避難先を選ばなければいけません。

人と動物がどう棲み分けをするか

平井:「同行避難」については、環境省もガイドラインを出したり、地域での整備が整ったりと、少しずつ進歩してきているようです。自治体によっては備蓄品を用意するところも増えてきていますし、現場で対応するボランティアのリーダー育成に取り組んでいる自治体もあります。ただ、予め「同行避難“可”」と決められている場所も、発災時にはその場所に入ることができない状況も起こり得ます。また、同行避難について理解している避難所の運営責任者がいちばんに駆けつけているとも限りません。大規模な災害の場合は、救援側の方すら被害に遭われている可能性が高くなります。被災地ではそういうことが起こり得る。そのことも、頭に入れておいて欲しいんですね。

“その場所に入れない”例をあげますと、例えば避難所の近くの大きな病院から、大勢の入院患者さんが避難されているケースです。ケガをしている方、点滴をしている方、酸素吸入をしている方など、衰弱が著しい方がいれば、「ペットはこの避難所に入れません」と判断されることもありますよね。あるいはお年寄り、乳幼児を抱えた方など、避難所には抵抗力が落ちている方もいらっしゃるわけです。当然のことながら、この会場に集まっていらっしゃる方は、家族の一員としてペットをかわいがっている方ばかりだと思いますから、「大事な家族の一員を外に出せっていうの?」とつい感情的になってしまいがちです。でも、先ほどのような避難所の様子を冷静に見れば、「ペットが入室できない」という事情は理解できると思います。

そういう状況にあって考えなければいけないのは、人と動物がどう棲み分けをするか、ということです。そしてその提案を避難所側に冷静に投げかけられるか、どう行動するかを考えてみましょう。

「動物が苦手な方、アレルギーがある方がいらっしゃるのであれば、私たち飼い主と動物はこちらを居場所にするのはどうでしょう」と提案をしたり、あるいは場所を示して「ここを私たちの居場所として提供してもらえないでしょうか」と投げかけを行ったりすることが、まず同行避難をしたあと避難所の中に落ち着く場所を得るための第一歩じゃないかなと思っています。

自分たちがペットを連れていくとき、どれだけ冷静に考えたり、避難所運営側と協議したりできるか。それが大きな分かれ道になってくると思います。

 

次のページ:話し合って解決するために

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