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物体の表面に揺れるもの:若木信吾インタビュー

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物体の表面に揺れるもの:若木信吾インタビュー
FEATURE
東京で起こっているハイパーローカルな動向を独自取材し、特集形式でお届け。
2016年4月5日
物体の表面に揺れるもの:若木信吾インタビュー
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写真・文_下屋敷和文、バナーデザイン_siun、構成_飯田ネオ

代官山ヒルサイドテラスで、2016年2月10日から28日にかけて行われた、写真家・若木信吾さんの写真展「表面」。これまで氏が行ってきた写真展からすると、異色ともいえる個展だった。なぜならそれは、被写体に器や木々、水面などを選んだ“ブツ撮り”によって構成されていたからだ。同時開催の『英ちゃん 弘ちゃん』の展示を除けば、人物のポートレートは一切存在しない。こうした個展を開いたのにはどのような意図があったのか、その考えを聞いてみたくなり、若木さんを個展会場に訪ねた。インタビューと執筆は、かつてアシスタントとして若木さんのもとでカメラを学び、現在は写真家として独立した下屋敷和文さんによるもの。

_DSC2728

写真家・若木信吾が起こすアクションはいつだって話題になる。1999年に写真集『Takuji』(光琳社出版)から始まったキャリアは写真の枠にとらわれず、出版社、映画監督、書店店主と多岐に渡る。それらは全て自分のできる範囲でコツコツと積み上げていく。そんな背中を、幸運なことに僕はアシスタントとして垣間見ることができた。そして今回、若木さんがブツ撮りで写真展を開催すると聞き、すかさずインタビューを申し込んだ。このテキストが掲載される頃には展示が終わっているのが、本当に心苦しい。だが、若木さんの言葉からは、変わらないスタンスと、変わらない広い視野と、新しい新境地に立っているのを感じた。インタビューが終わる頃、やっぱり僕は若木さんに影響を受け続けているんだなと、つくづく思った。

自分が展示したいものを
純粋にやりたかった

──若木さんは代官山はお詳しいですよね。

東京に出てきて、最初に住んだのが代官山だった。写真の現像所が目の前だっていう理由で、槍ヶ崎の交差点に部屋を借りたんだ。そのあとも桜丘とか猿楽町に事務所があったから、自分の中では代官山は写真の街というか、写真を中心に回っているみたいなところがあって。このヒルサイドテラスは、そのときからずっとあったんだよね。建築家の槇文彦さんが作ったスペースなんだけど、今改めて見ても、初めて来たときに見た記憶と変わっていない。一見入りづらいけど、入ってみると居心地が良くてね。そういうところもこの場所ならではというか。

_DSC2750

──そんな場所で写真展をやることになった経緯はどういうものだったんでしょうか。

たまたま「ちょっと空いている期間があるからどうですか?」って誘われたんだけど、まさか自分がここでやれると思ってなかったから、お話をいただいた時は嬉しかったね。「是非やらせて下さい!」って答えたものの、何をやろうかとかっていうところまでは全然考えてなかった。

_DSC2743

──僕は若木さんが「ブツ撮り」ということにとても驚きました。

去年は浜松で展示をやったし、今年の秋も浜松市美術館で展示があるから、その間に同じものをやるのも自分としては面白くない。せっかく代官山だし、事務所も近いし、新しいことやりたいなって思ったのがまずひとつ。それと、なんとなく今までのネガをひっくり返したり、新しく撮りためたり、ブツ撮りに興味持ち始めてたタイミングでもあったんだ。それで、お正月とか年末にかけて面白そうなモノを持ってる人に連絡して何枚か撮らせてもらったんだよね。

──今回の個展はどういう位置づけなんでしょうか。

新しい作品で写真展をやること自体、すごい久しぶりなんだよね。これまでの浜松での個展は今までの作品を振り返ったものだし、写真集『英ちゃん 弘ちゃん』(amana)は写真展自体やっていない。今回の作品に関しては本にまとめる予定もないんだよね。

_DSC2718

──確かに写真家の個展には写真集がセットっていう印象がありますね

撮って、プリントして、展示して、パッと見せるのがいちばんシンプルで時間がかからない。そういうやり方で展示を続けていきたいなって前々から思ってたんだ。フレッシュな気持ちが盛り上がってるうちに見せたいっていうか。人を呼ぶためにとか、集めるためにとか、いろんなことを全て忘れて、自分が展示したいものを純粋にやりたいっていうのがあったんだよね。

 

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