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パンの未来は世田谷にある 〜パンラボ池田浩明による世田谷パン論〜

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パンの未来は世田谷にある 〜パンラボ池田浩明による世田谷パン論〜
FEATURE
東京で起こっているハイパーローカルな動向を独自取材し、特集形式でお届け。
2015年7月22日
パンの未来は世田谷にある 〜パンラボ池田浩明による世田谷パン論〜
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写真_大志摩徹、鈴木渉、下屋敷和文/文_池田浩明/イラスト_ルーカス・D・マーカス/編集_川田洋平、飯田ネオ
厳選した素材に
アーティスティックに挑む

近年、パンの世界に素材重視の波が訪れている。たとえばワインがブルゴーニュやボルドーといった産地の名、カベルネ・ソーヴィニヨンやピノノワールといった品種の名で語られるように、品種限定や農家限定の小麦を使ったパンが作られるようになった。

その先駆けとなったのは、「ブーランジェリー ラ・テール」(三宿)。食パンも、北海道産「キタノカオリの食パン」や、岩手県産「ユキチカラのハードトースト」など小麦の産地ごとに作り分ける。九州産小麦を使った「大地の食パン」の風味は、草の香りや土の香りが感じられるほど野趣に富む。使用される小麦は熊本県のオーガニック農家、東さんのチクゴイズミに、九州産ミナミノカオリ。まるでこだわりのそば屋のように、日本各地のテロワールを味わうことができるこの試みは、素材重視・エココンシャスなパンの時代を予告するものだった。

世田谷にはまた、「ラトリエ・ドゥ・プレジール」(祖師ケ谷大蔵)という奇跡の店も存在する。小麦を粒のまま取り寄せ、それぞれにふさわしいやり方で処理・製粉してパンにする。そこに、発酵種を数種類組み合わせることによって、風味と食感のハーモニーを奏でる。ホップやフルーツや粉から取りだされる発酵種は約30種類以上。

作曲家が曲を作るために、バイオリンやピアノといった音色を頭の中で組み合わせるように、田中シェフは頭の中で小麦に種を組み合わせることで起きる発酵の変化まで、寸分狂いなくイメージする。恐ろしいほど複雑な工程を成し遂げるため、田中シェフはほとんど家に帰らず、厨房に寝泊まりするという。もはや誰も追いつくことのできない、前人未到の荒野をひとり進む。

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