日本における抽象美術の父にして木版画近代化の立役者、恩地孝四郎の回顧展「恩地孝四郎展」が東京国立近代美術館で開催されている。期日は2016年2月28日(日)まで。

「抒情 あかるい時」1915
恩地孝四郎は、抽象美術がまだその名を持たなかったころ、心の内側を表現することに生涯をかけた人物。彼の創作領域は一般に広く知られ、また評価の高い木版画のみならず、油彩、水彩・素描、写真、ブックデザイン、果ては詩作にまでおよび、媒体を問わず多くの芸術分野で功績を残している。本展では、恩地の領域横断的な活動を、日本で最初の抽象表現《抒情『あかるい時』》を含む過去最大規模の約400点の作品で紹介する。

「あるヴァイオリニストの印象(諏訪根自子像)」1946
今回見逃せないポイントのひとつが、「里帰り展示」される62点の作品。戦後、特に海外での評価が高かった恩地の作品は、その多くが海を渡っていった。本展では海外所蔵館(大英博物館・シカゴ美術館・ボストン美術館・ホノルル美術館)の協力のもと、現存作が一点しか確認されていない作品や摺りが最良の作品など、恩地の重要作が会場に集まる。大正期から昭和の戦後期にかけて前人未踏の足跡を残した、恩地孝四郎の多彩な世界がたっぷり楽しめる展示となっている。
恩地孝四郎展
会期:2016年1月13日(水)~2016年2月28日(日)
会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
場所:千代田区北の丸公園3-1
開館時間:10:00-17:00(金曜日は10:00-20:00)
※入館は閉館30分前まで
休館日:月曜日
入場料:一般1000(800)円/大学生500(400)円
※( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
※高校生以下および18歳未満、障害者手帳の所有者とその付添者(1名)は無料。
それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等の提示が必要。
※キャンパスメンバーズ加入校の学生は、学生証の提示で割引料金400円で鑑賞可能。
URL:http://www.momat.go.jp/am/exhibition/onchikoshiro/#section1-1
■関連イベント
[松本透(東京国立近代美術館副館長・本展企画者)氏によるギャラリートーク]
日時:2016 年2 月12 日(金) 18:00-19:00
場所:1階企画展ギャラリー *申込不要、要観覧券
[山口啓介(現代作家)氏による講演会] ※タイトル未定
聞き手:松本透氏
日時:2月14日(日)1400-15:30 (開場:13:30)
場所:講堂(地下1階)にて・聴講無料(先着140名)・申込不要