幾何学的な模様や、ひとつ目の生き物。近年、そうしたドローイングによるアートを製作してきた岡本亮氏が、立体造形を中心とした個展「BELIEVER」を開催する。会場は港区南青山の「Commune246」内にあるギャラリー、「MIDORI.so2 Gallery」。会期は2015年12月4日(金)から12月13日(日)まで。

個展「BELIEVER」より
活動の拠点を出身地である兵庫県に置きながら、東京やポートランドで個展を行う岡本氏。「平面では現代の人たちに伝わらないと感じた」と、立体でのアート作品を製作したという。また、タイトルの「BELIEVE」に込められた思いについてはこう語る。
「骨董屋に行ったら、神さまが乗る台座だけが売ってたんです。これまで人間は、神とか自然とか色んなものを信じてきたけど、もう信じなくなった。昔は祈ることしかできなかったのに、今は病気になったら医者に行けばいいし、お金があればなんとかできる。もう神はいない。だから俺は、自分が信じるものを置いたんです」
こうして岡本氏が骨董品の上に置いたのは「石」だ。2年以上にわたり自ら全国を回って探し求めたもので、骨董品との絶妙な均衡を保ちながらひとつの作品を構築している。本展のメインビジュアルにもなっている作品は(上記写真中央)、かつての不動明王が背負っていた炎の一部を使用している。邪念を焼き切る、という意味を持たせるため、手前に置いた石は溶岩だ。このためにハワイまで採掘しに行ったという。

個展「BELIEVER」より
作品を置くための台は、神具や仏具で多く用いられるヒノキで作った。また、岡本氏が「現代においていちばん清潔で信頼できる素材」だというステンレス製の台も製作中だという。
こうした境地に至るまでには、オフロードバイクの存在も欠かせない。現在岡本氏はエンデューロレースと言われる耐久レースに挑み続けている。一見、アートとは繋がりがないように見えるバイク競技だが、山の中で泥まみれになって勝敗を競う中で、いかにして自然を読み切るかという人間力の限界を垣間見るのだという。人間力を越えた先にあるもの、それが岡本氏にインスピレーションをもたらすのではないだろうか。
「”信じる力”を作品にしています」という岡本氏の新境地が、どのようなアートに結実したのか。ぜひその目で確かめてみてほしい。

岡本亮氏 近影
OKAMOTO RYO 個展「BELIEVER」
日時:2015年12月4日(金)〜12月13日(日)
開場時間:10:00〜20:00 ※初日はオープニングのため夜からスタート
会場:Commune246 MIDORI.so2 Gallery
場所:港区南青山3-13
[プロフィール]
■岡本亮 Ryo Okamoto
1977年、兵庫県生まれ。1995年からへ美術留学。LONDON Foundation CourseART SCHOOLへ通うなか、アラスカ1000キロ川下りにチャレンジするなど、自然・民族への興味を深める。帰国後、1999年にIDEE SHOP pacific TOKYOにて初となる個展「moon light tent」を開催。2002年に家業の小売り部門を引き継ぎ、輸入販売事業を展開。2009年にアートに復帰。以降、個展やライブパフォーマンスなどを展開する。2012年「GIVE LIFE TO BRAID LINE」(神戸)、「Lazerz!」(ポートランド)、「Usuary Black but White PEN」(東京)、2013年「Oto e Salon BAND/ライブパフォーマンス」(東京)、2014年「SUPPPOSE DESIGN OFFICE/ビジブルドローイングペインティング」(広島)。
[関連イベント]
■オープニングパーティ
日時:2015年12月4日(金)18:00〜21:00