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〈東京、視線の片隅で〉第6回「ポルノ映画館のWi-Fi」

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COLUMN
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鑑賞池

October 2019

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2018年1月8日
〈東京、視線の片隅で〉第6回「ポルノ映画館のWi-Fi」
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文・写真_鑑賞池
そしてオークラへ

ここまでWi-Fiを導入するための3つのパターンをみてきたが、実はそれでもまだ冒頭のオークラ劇場のWi-Fiには当てはめることができていない。いよいよ同性愛者のための設備なのだろうか、という考えに傾きかけたところで、改めてオークラ劇場の営業時間を確認してみてみると、「毎日オールナイト入れ替えなし」とある。

ここであらためて、オークラ劇場のWi-Fiの本来の役割が見えてきた気がする。この劇場では終電を逃した人が、ホテルに泊まるほどではないが始発まで時間を潰すために利用する、ということも大いに考えられるのだ。マンガ喫茶でマンガを読まずにインターネットばかりしている人も実際に多くいるわけであり、この映画館はそれと似たような機能を持っているのではないか。そしてやはりマンガ喫茶同様に社会的なセーフティネットとしての役割も担っているかもしれない、と考えた。

毎日オールナイト。

そんなふうにポルノ映画館のことを考えていると、亡くなった父のことを思い出した。生前、彼はたまにポルノ映画館に行っていたらしく、酒を飲んだ時などに映画館のなかで手を握られて振り払った話などをしていた。嫌ならば行かなければいいのに、と言ったことがあるが、競艇場やオートレース場などが好きな彼は、それでもあの殺伐とした雰囲気が好きでなんとなく行ってしまう、と言っていた。

そんな話をしてからしばらく経った2011年3月、東日本大震災があり、東京でも街の機能が麻痺するほどの混乱が起きた。私は運が良いのか悪いのかちょうど体調を崩しており、当時住んでた荻窪の家で寝込んでいたのだが、慌てて飛び起きてまずは肉親に連絡をした。最初は誰とも連絡が取れなかったが、しばらくすると父親と電話が通じた。そのとき彼は「俺は大丈夫だ。今上野から歩いて帰っている」とぶっきらぼうかつバツが悪そうに言っていたのだが、その口調からきっとオークラ劇場に行っていたのだろうと思い、気が抜けたのを覚えている。

ふと思い出して微笑ましい気持ちになった。

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