2017年11月15日
〈東京、視線の片隅で〉第5回「街の公衆トイレ」
文・写真_鑑賞池
「紹介したいトイレがあるんだよ」
なかなか聞きなれない誘いだが、3年ほど前にボッチンという版画家兼アニメーション作家兼ウレタン造形作家兼コント作家の友人の口から出た言葉である。彼自身、私達の共通の友人である、よろず珍作家のハマちゃんに紹介されたらしい。非常にSF感溢れるトイレであるらしく、私にも是非一度見て欲しいと言うのだ。
先日ボッチンと飲みに行った際、ふとそのことを思い出し、私は例のトイレに行ってみたい旨を彼に伝えた。彼は「あれ、まだあるかなあ…」と言いながら、もともと紹介してくれたハマちゃんに連絡してくれた。
数日後「あのトイレはつい先日なくなってしまった」という悲しい知らせがあった。とはいえ、なにか跡でも残っているのではないかということで、皆で行ってみることにした。
それは北千住の駅構内にあったらしい。
ハマちゃんはもうすでにないそのトイレの前で、かつてあったそれの素晴らしさについて語ってくれた。しかし、話を聞いてもいまいちピンと来なかったので、お願いして絵を描いてもらった。確かに見かけない形状であり、紹介したくなる気持ちもわかる。

千住の珍作家、ハマちゃん画。
さて、なぜ急にトイレのことが気になったのかというと、私が以前住んでいた部屋の近くに珍しい公衆トイレがあったことを思い出したからである。私はこれまで公衆トイレというと、ほとんど公園のなかにあるイメージしか持っていなかったため、住宅街にぽつねんとあったそれに強烈な違和感を覚え、同時に興味を持ったのであった。北千住のトイレ跡を見た後、私は公園でない場所に存在するトイレを探しに東京を歩き回ってみることにした。