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〈東京、視線の片隅で〉第4回「聖徳記念絵画館前のアスファルト」

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COLUMN
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鑑賞池

August 2019

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2017年10月3日
〈東京、視線の片隅で〉第4回「聖徳記念絵画館前のアスファルト」
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文・写真_鑑賞池
割れ目研究家・平田森三

割れ目と言えば、平田森三という科学者がいた。彼は岩波書店『科学』(1933年11月号)に「キリンの斑に就いて」という、“キリンの模様が斑様なのは成長による内側からの力による表面のひび割れによるものではないか”という仮説が記されたロマンチックかつ科学的な文章を書いている。この文章は掲載されてすぐに動物学者から強い反発があり、「科学」には往復書簡のように批判が交互に掲載されたらしい。これは「キリンの斑論争」として語られ、理系でない人間の間にも少しは知られている。なお、この平田の仮説はやはり間違っているそうだが、この議論の行く末などはコラムで書くには少々骨が折れるので割愛する。興味のある方は岩波書店から関連書籍が出ているのでご一読されたい。

さて、キリンの斑はともかく、このアスファルトのひび割れこそが、平田が研究していたひび割れそのものであろう。平田の還暦記念に関係者に配布された「割れめ」という饅頭本(*)には、このアスファルトのように美しい割れ目がたくさん掲載されている。

*節目に刊行される記念誌のこと。葬式饅頭のように配られるから古本蒐集家の間ではそう呼ばれる。

平田森三の饅頭本『割れめ』(平田森三先生還暦記念会)。筆者所蔵。

こんな感じで数多くの美しい割れ目が掲載されている。

平田の生きていた時代には、この広場はまだ模様を描いていなかっただろう。時を経て美しくひび割れた、このアスファルトを彼に見せてあげたいと思った。

縁石も古いらしい。

アスファルト舗装してある広場だが、なぜかオフロード感がある。

アスファルトばかり眺めていたら、結局聖徳記念絵画館に入ることを忘れてしまった。

広場にはキャッチボールをする人々やラジコンを走らせる少年などがおり、誰もこの日本最古級のアスファルトはもちろん、後ろに控える日本最古級の美術館建築に少しも興味をいだいていないようである。そんなものなのかもしれない。

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