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〈東京、視線の片隅で〉第2回「不忍池弁天島の供養碑」

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COLUMN
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鑑賞池

November 2017

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2017年7月5日
〈東京、視線の片隅で〉第2回「不忍池弁天島の供養碑」
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文・写真_鑑賞池

川島雄三監督の「喜劇とんかつ一代」という映画が好きである。

森繁久彌演ずる主人公がとんかつ屋を開業したことをめぐり、さまざまな軋轢と複雑な親族関係などが絡み合いながら進行し、最終的には大団円を迎えるというドタバタコメディである。せわしないはずなのに、不思議とのんびりした気持ちになり、正月にふと見たくなったりする。DVDは発売されていないが、その筋では人気があり、とんかつ好きも上野好きも避けては通れない映画の一つであろう。

井泉のとんかつ定食(ヒレ)。井泉は劇中で森繁が営むとんかつ屋「とん久」のモデルと言われる。

私の記憶が正しければ、映画は東京の豚肉を提供する料理人・肉屋などが「豚の供養碑」の前で「豚供養」という行事を行っているシーンから始まる。ロケ地は不忍池の弁天島のように見えた。

水上音楽堂前あたりから弁天島を臨む。蓮が生い茂る季節である。

上野は東京の「北の玄関口」と呼ばれる。『故郷の訛り懐かし停車場の人ごみの中にそを聞きに行く』と石川啄木が詠んた時代はすでに遠いが、京浜東北線沿線に育った私にとっては幼い記憶に残る「最初の都会」であることに変わりはない。今も昔もアメ横など街の楽しさはもちろん、上野動物園、美術館群、東照宮の牡丹苑、不忍池の蓮、ラジオ体操など、東京という街の懐の深さを感じられる場所である。

あじさいが咲いていた。

蓮も咲き始めている。7月中旬ごろにピークを迎える。

週末の昼食に湯島の「井泉」でとんかつを食べた帰り道、ふと私は人生で何匹の豚を食べてきたのだろう? おそらく百匹ではきかないだろうな…と考えた。そうしてこれまで胃の腑におさまっていった豚に思いをはせている時「喜劇とんかつ一代」に登場した「豚の供養碑」が頭に浮かんだ。もし本当にあるのならば、一度は実物を見てみたいと思い立ち、不忍池に足をのばした。

弁天島の入り口。テキ屋で賑わう。

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