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〈東京、視線の片隅で〉第1回「田端の鑑賞池」

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COLUMN
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鑑賞池

September 2019

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2017年5月30日
〈東京、視線の片隅で〉第1回「田端の鑑賞池」
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文・写真_鑑賞池

ところで、先の新聞記事には実は続きがあった。同年7月18日、読者から情報が寄せられ、追加記事が掲載されていたのだ。それによると、田端駅で運転主任をされていた小林滉さんという方が1971年ごろに乗客の目を楽しませようと池づくりを駅長に提案、木の枠にコンクリートを流し込み、トロッコで今の場所に運んだそうである。そして地下水を利用して池を満たし、小さなニシキゴイを何匹か入れたとのことであった。

鯉のような魚もいる。

なお、しばらくして、大きくなったニシキゴイが盗まれるという鑑賞池史上最も重大と思われる事件まで起きている。病気の妻に食べさせようとでもしたのだろうか。「はだしのゲン」にあったニシキゴイを盗むエピソードなどを思わず思い出してしまう。小林さんはご存命なら85歳ぐらいだろう。是非一度お話を聞いてみたいものだ。

鑑賞池には定期的に新しい魚を入れた記録もないそうである。ではあの魚はどう入れ替わっているのだろうか。考えられることは、おおよそ妖怪の仕業ぐらいしかない。金魚を入れているのはきっと枕返しのような妖怪で、なんなら金魚も妖怪ということにしよう。そういえば岩魚坊主という妖怪がいたはずだ、というのは冗談としても、よっぽど水が良いのか、今日も鑑賞池にはすいすいと金魚が泳いでいる。彼らはこの東京で、人の営みのすぐ近くに環境に適応しながら生きている。それを眺めるたびに、移り変わりの激しい東京にありながら、まるで洞が峠を決め込んでいるように見える彼らに自らを投影し、安心するのである。

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