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〈東京、視線の片隅で〉第1回「田端の鑑賞池」

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COLUMN
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鑑賞池

December 2017

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2017年5月30日
〈東京、視線の片隅で〉第1回「田端の鑑賞池」
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文・写真_鑑賞池

JR田端駅には山手線、京浜東北線が走っており、プラットホームは2つある。1番線である京浜東北線赤羽方面行きは、一番西の山の手側にあり、線路をまたいだところは崖状に高くなっている。その崖の石垣にへばりつくように、半ばトマソン状の池が「鑑賞池」という立て札とともに、かなり唐突に存在している。別にひっそりとしているわけでもないが、多くの人は目に止めることはないようである。経年で石垣に馴染んでいるからだろうか。ただ、酒に酔った帰りなどにはこういったものが目に入りがちであり、一服の清涼剤のような効果はあるのかもしれない。

鑑賞池全景。線路の向こうになんとなく存在する。

金魚が泳ぐ。

京浜東北線沿線に生まれた私だが、田端駅はよく利用していたにもかかわらず、長年この池に気がついていなかった。しかし、10年ほど前の冬の日に、田端駅での乗り換えでなんとなく目に入ってきた。意識されざるその存在が気に入り、それからたまにこの名を拝借するようになった。

しかし、この鑑賞池、期待通り地味な存在らしく、インターネット上にはまともな情報を見つけることはできなかった。誰も興味がないのなら自分で調べてみようと、まずは田端駅に直接聞いてみることにした。

田端駅北口。よくある東京都内の駅という雰囲気。

プラットホームの向こうに佇む鑑賞池。地味。

鑑賞池を線路の向こうに臨む。こんなところに、いったい誰がつくったのか。

改札にいた若い女性の駅員さんに「鑑賞池について聞きたいのですが…」と聞くと少し訝しがったが、「ウェブの方が詳しいのではないでしょうか?」と言いながらも、詳しそうな人に電話で確認してくれた。それによると、乗降客の目を楽しませるために40年ほど前に当時の駅員さんが作ったとのことである。なお、現在は駅員さんが管理しており、水が減ったなと思ったら、終電後に水を足したりしている、とのことであった。

「どなたが作ったかというの記録はないでしょうか?」と尋ねると、再度先ほどの詳しそうな人に電話してくれた。すると新聞に掲載されたことがあるらしく、親切に掲載された日付を教えてくれた。聞いてみるものである。

田端駅南口へアプローチする階段。山の手から下町を臨む。

田端駅南口。どこかの地方駅のような雰囲気すら漂う。山の手から階段を降りてアプローチする。

さて、さっそく図書館で昔の新聞記事を探すと、2008年の7月7日の朝日新聞東京地方版に「JR田端駅の線路脇 金魚やフナすいすい」という記事を見つけることができた。記事によると、取材当時にJR東日本の広報に確認したところ「国鉄時代に作られたが、記録などは残っておらず、詳細は不明」(以上抜粋)とのことであった。ふむ。全然わからない。

ただ、「現在は地下水をホースで引き込み、大きなごみが浮いていれば終電後に取り除いているが、水替えなどの特別な世話はしていない。エサも与えておらず、ときおりホームからパンなどを池に投げ込む人がいるという」(以上抜粋)とある。駅員さんの様子からも見て取れたが、きわめてゆるやかな管理のもと存在しているということは、この記事からもひしひしと伝わってきた。

ここまででわかったことは、

・鑑賞池の水が地下水であること。
・エサを与えずとも金魚が育っているということ。

以上の2点である。

では、地下水はどこからくるのだろう。

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