2016年12月24日
〈今日は何の日?〉1971年「新宿クリスマスツリー爆弾事件」
イラスト_ルーカス・D・マーカス
1971年12月24日、新宿3丁目の伊勢丹前交差点にある「四谷警察署追分派出所」(現在は追分交番)で爆弾テロが発生した。派出所付近に置いてあった買い物袋に、高さ50cmほどのクリスマスツリーに時限爆弾が仕掛けられていたのである。これにより、警察官2名と通りかかった通行人7名が重軽傷を負った。クリスマスイブの、人で賑わうなかの犯行だった。

クリスマスツリーは派出所のすぐ脇に、紙袋に入って置かれていたという。
犯人は当時盛んだった学生運動団体のひとつ、「黒ヘル」に所属する鎌田俊彦とそのグループ。共産主義の”赤”に対して無政府主義をあらわす”黒”のヘルメットを被って活動をしていたという。逮捕された鎌田には無期懲役が、共犯者には懲役10年から20年という刑が言い渡された。鎌田は現在は宮城刑務所に収監されており、著書も出版している。

右手が現在の追分交番。伊勢丹が目の前に見える。(Google Mapより)
この事件が発生した近年、東京では、政治グループ「新左翼」による、タバコの銘柄「ピース」の缶を使った爆弾事件が頻発していた。いずれも警視庁機動隊庁舎やアメリカ文化センターなど、特定の対象を狙ったテロに過ぎなかったが、この事件がそれまでと異なるのは”無差別テロ”という点であった。多くの人で賑わうクリスマスイブの新宿を選んだ無差別攻撃という点で、東京に大きな震撼が走ったのである。